「行政書士は依頼者を支えることができる、サポーターのような存在 」
石井さんは子どもの頃はどんなお子さんだったのですか?
石井 小さい頃はお医者さんになることが夢で、そのためには勉強が大事!と思ってまじめに頑張る性格でした。高校生の時は生徒会役員をやっていましたが、実は体が弱くて、学校も休みがちだったんです。その分、体調がいいときに趣味も勉強も思いっきり取り組むタイプでしたね。今思えば結構無茶していたかな、と思いますが…。今は子どもの頃まわりに心配させてしまった分、社会貢献のつもりでお仕事をしています。
行政書士のお仕事に就いたきっかけは何だったのですか?
石井 高校を卒業してからは会計事務所や不動産関係のお仕事に就きました。「宅地建物取引主任者」や「FP(ファイナンシャルプランナー)」の資格をとり、経理、税務から企業法務、民亊法務と携わってきました。そんな私が行政書士になろうと決めたのは、日本FP協会の会報誌に掲載された行政書士の本田桂子さんの記事が目に止まったことがきっかけです。遺言書の作成や相続手続を介してライフプランの提案に尽力されている彼女に刺激を受け、私も今までの経験を活かせる「行政書士」を最終目標にして頑張ろうと思ったんです。
今までの経験が総合的に生かせるお仕事が行政書士だったのですね。
お仕事に関わってきたところもあった分、資格もすんなり取れたのではないですか?
石井 いえ、実は3回受験したんですよ。1回目は記念受験、2回目で絶対合格するつもりだったんです。それが落ちたときは相当ショックでした。資格取得は40歳までと思っていたので、次は絶対合格する!と思い、試験に向けて気持ちを切り替えて、暇さえあればテキストを開いていました。休日は一日8時間も机に向かっていましたよ。ですから3回目で合格した時は本当にほっとしましたね。
資格試験はやはり難しいのですね。
行政書士になってからは普段どんなお仕事をされているのですか?
石井 行政書士の仕事は権利義務や事実証明に関する書類の作成です。私は終活応援や企業活動応援を主に取り組んでいます。終活応援は亡くなった方の相続人が誰なのか調べたり、遺産をどのように分けるか遺産分割協議書を作成したり、遺言のお手伝いを。企業活動応援として、法人の設立や建設業、飲食業など許認可の申請書類作成、会計記帳などをしています。契約は口約束でも成立しますが、後々トラブルにならないよう書面にします。トラブルを予防し、手続きをスムーズに進めるのが私たち行政書士の仕事です。時には依頼者に代わって住民票をとるなど、細かい仕事もあります。行政書士が「まちの身近な法律家」と言われるのも、そのためです。また震災後は日本行政書士会連合会で原子力損害賠償請求手続きや自動車登録抹消、相続問題などの被災者支援も行いました。
ビジネスから暮らしのことまで幅広く関わるのですね。
仕事において大変だな、と思うことはありますか?
石井 行政書士は守備範囲が広く、常に情報収集をし、毎年変わる法律に追いつくことが大変ですね。それから特に慎重にならなければいけないのが、相続手続きなど個人のプライバシーに関わるときです。意見が食い違うときは行政書士として客観的にアドバイスします。問題が解決し、依頼者の方から「胸のつかえが取れた」と感謝されたときは、とてもうれしいです。
石井さんがお仕事をする上で、いつも心がけていることは何でしょうか?
石井 お客様に依頼される内容の一つ一つが、その方の仕事や人生に関わってくることなので、仕事にじっくりと取り組めるよう、常に体調管理に気をつけ、気持ちにゆとりを持つことを心がけています。また、表面に出ていない依頼者の本当の望みをくみ取り、聞きなれない法律用語や専門用語をなるべく使わず、相手にわかりやすい言葉で説明するようにしていますね。
石井さんはどんな行政書士を目指したいですか?
石井 依頼者の“サポーター”のような存在でありたいと思います。私に仕事を依頼してくださる方には、困っていたり不安を抱えてくる方も多いです。その方の気持ちに寄り添えるような、身近な法律家でありたいと思います。また、経営者の方も多いので、その方が本業に専念できるよう、しっかりと支えることが大切だと思っています。会社設立や許認可が下りたときは、自分も同じように嬉しくなります。だって、その人の夢を叶えるお手伝いができたわけですからね。依頼者を支えることで、ともに喜びを感じることができるこの仕事は、私にとって転職だと思います。
- 石井泰子行政書士事務所 石井泰子(いしい たいこ)さん
- 出身地
- 福島県郡山市
- 出身校
- 福島県立安積女子高校(現 安積黎明高校)
- 休みの日の過ごし方
- お客様の依頼に対応できるよう、基本年中無休でお仕事をしている石井さん。予定のない日は編み物をするなど、家で過ごすことが多いそう。
芸術鑑賞もお好きだとか。
※この記事はaruku2014年2月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。