長年にわたって地元の人たちの胃袋を支えてきた大衆中華があります。「このお店にきたらこのひと皿!」といった、看板メニューと出会えるお店があります。気取らないのにプロの技が込められていて、ボリューム満点なのに価格はお手ごろ!そんな愛され中華の魅力を、食欲増し増しでお届けします♪
丸仙食堂
変わらないおいしさと、新しいおいしさが共存
石川町の郊外に居を構え、50年以上の歴史を誇る『丸仙食堂』。arukuがこのお店に注目したのは、昔ながらの町中華の面影を色濃く残しながら、時代に則した進化に感動を覚えたから。
「お店を始めたのは私の祖母です。当時のメニューはラーメンだったと聞いています」。三代目投手の高橋龍さんがお店のルーツを教えてくれました。鶏ガラベースのシンプルな醤油ラーメンはまさに『丸仙食堂』の原点。伝統の味に加えてお財布に優しい低価格も受け継ぎ、物価高の令和の時代に480円で提供しているというから驚きです。
そんな『丸仙食堂』に新風を吹かせているのが、龍さんが手掛ける新しい発想の月替わりメニューたち。例えば、定番のチャーハンはたっぷりの海鮮が嬉しいあんかけスタイルで♪じゅわっという音が食欲を掻き立てる石焼きと、輪っか型の盛り付けがお洒落なお皿の2パターンで味わえるのもポイントです。「料理はやっぱり見た目も大事!王道中華だけでなく新しい味も楽しんでもらえれば」。変わらない美味しさを大切にしながら、新しいおいしさを追求し続けている『丸仙食堂』。知れば知るほど愛さずにはいられないお店です。
中華食堂秋
盛りの良さ=お店の愛 安くて美味しい庶民の味方
老舗ひしめく郡山の中華料理店の中にあって、創業8年目ながら確固たる地位を気づいている「中華食堂秋」。熱烈なファンを数多く集めている大きな理由は、その圧倒的なボリュームと他では味わえないこだわりの味にあります。
かた焼きそばは、迫力満点の大皿で提供。パリパリに揚げた麺にたっぷりのあんが絡み、食べ進めていくごとに変化する食感に最後まで飽きずに楽しめます。定食の中でも不動の人気を誇るのがBランチ。こちらも満腹間違いなし!
もはや丼からこぼれているのが標準スタイルというダールー麺にも注目!酸っぱ辛いあんかけスープに黒コショウがガツンと効いていて、体の芯から温まる大ヒットメニューです。エビチリもリピーターの多い人気メニュー。トマトベースのチリソースに卵でまろやかさを演出。特筆すべきはこれだけの量があるのにほとんどが1,000円以下に抑えられていること。お腹いっぱい中華を食べたいときには最優先のお店です。
SHOP INFO
中華食堂秋
郡山市新屋敷2-131
営/11:00~15:00(Lo.14:30)、17:00~21:00(Lo.20:30)
休/火曜・他不定休あり
P/16台
王王楼【わんわんろう】
白河をシューマイの町に 老舗中華店の挑戦
2種類のおかずが嬉しい日替わり御膳から、パーティーシーンを盛り上げるコースメニューまで、幅広いシーンで親しまれている白河市の「王王楼」。店主の飯村さんはラーメン文化が浸透している白河に、新たな名物を広めようと日々取り組んでいます。
お隣栃木の宇都宮ギョーザに対抗する形で、目を付けたのがシューマイ。そのおいしさの秘密は地元愛にあり!豚肉は白河清流高原豚、お酒や醤油も白川さんにこだわったシューマイは、市の公認ブランドに認定。白河がシューマイの町と呼ばれるのもそう遠い日ではないかもしれません。
口の中でほどけるパラパラのお米に絶妙な塩味。シンプルだからこそ確かなおいしさを実感!
中国四川料理 太陽【たいやん】
郡山における四川料理の開拓者が語る、こだわりの「太陽麺(タイヤンメン)」にかける想い
うねめ通りを一本入った路地沿いに店を構える『太陽』。店主の佐藤和夫さんは、日本に四川料理を広めた陳健民さんに師事した経歴を持つ、郡山の四川料理のパイオニア的存在です。お店の看板メニューは「太陽麺」。いわゆる担々麺ですが、「当時の郡山では担々麺のなじみがなくてね。何だこの辛い料理は!って言われたこともあったね。それでも絶対この味で勝負したくて、お店の名前をつけたんだよ」と、佐藤さん。陳さん直伝の担々麺を大衆向けにアレンジしたその味は、辛さの中にも丁寧にとった鶏ガラスープの旨味を感じ、飲み干したくなる美味しさです。担々麺がすっかり定番になった現代においても、「やっぱり太陽麺じゃなきゃ!」というファンも多く、今や郡山のソウルフードと言えそうです。
リーズナブルなランチも人気。定番の麻婆豆腐は辛さと旨味のバランスが絶妙!
・1970年頃 佐藤さんが陳健民さんに師事し、四川料理を学ぶ
・1979年 郡山市細沼に創業
・1979年 「太陽麺宣言」を発表
…オープン当初からメニューはほぼ現在と同じ。店名を冠する「太陽麺」は郡山で最初の担々麺と言われている
・1982年 1度目の移転
・1986年 現在の場所に店舗を移す
・2014年 娘の里美さんがお店に入り、親子でお店を切り盛りするように
SHOP INFO
中国四川料理 太陽【たいやん】
福島県郡山市大槻町字菅田55-5
営/11:30~14:30、17:00~20:30
休/水曜
P/10台
大昇楼【たいしょうろう】
創業50年の老舗中華食堂が誇る、ご飯が止まらない2つのレバー料理
先代の丸山昇さんがお店を開いたのは1965年のこと。そこから何度かの移転を経ながら、現在は横浜中華街で腕を磨いた2代目の晃さんがお店を引き継いでいます。半世紀以上地元の人から愛されてきた町中華の魅力は、決して派手さはないものの定期的に無性に食べたくなる、唯一無二の料理の数々にあります。その代表格が「レバ焼」と「レバ炒め」。下味の染みたレバーを強火で一気に焼き炒めた「レバ焼」は、肉の旨みが濃い目のタレに合わさりご飯が進むこと請け合い!レバーの旨みが野菜にも染み込んだ「レバ炒め」も甲乙つけがたい白飯の相棒です。臭みのなさと柔らかさも両メニューに共通する絶品ポイントです。
チャーハンが旨い店にハズレなし!チャーシューと自家製醤油がアクセントです。
・1965年 現在の安積黎明高校前に創業
・1971年 郡山市堂前に移転
・1973年 郡山市長者に再移転
・1992年 現在の場所に移る
・1995年頃 「大昇楼メニュー革命」が起こる
…2代目の晃さんが加わり、いくつかの新メニューが加わったのだそう
・2015年頃 先代の昇さんが引退する
呂望 岱山亭【たいざんてい】
名店で修業した料理人が地元向けにアレンジした、ガッツリ派をうならせる特大五目やきそば
中華の鉄人も務めた脇屋友詞シェフの元、都内のホテルなどで修業を積んだ山田弘文さんが地元郡山に『岱山亭』をオープンさせたのは2002年のこと。「郡山では珍しい料理より定番の中華が人気なんだ」と話すように、当初から不動の1番人気なのが「五目やきそば」。
お得感、満足感を感じてもらいたいと2人前はあろうかという特大サイズがお店のこだわりです。角の取れた少し甘めの餡が絶妙で、食べる場所によってしっとりもちもちだったりカリカリ食感だったりする麺の食感の違いも飽きずに食べられるポイント。元プロ野球選手の中畑清さんとの親交も深く、店内に飾られたお宝グッズの数々も必見です!
ご飯に合うように少し辛さを抑えたマーボーかけ飯。こちらも満腹度高し!
・2002年 現在の店舗のすぐそばに創業
・2002年 「岱山亭の満腹運動」が始まる
…オープン以来、ほとんどメニューは変わらず。お腹いっぱい食べてほしいと大盛サイズで提供したのは、岱山亭が郡山では先駆け
・2017年 リニューアルしより入りやすい雰囲気に
SHOP INFO
呂望 岱山亭【たいざんてい】
福島県郡山市御前南1-81-1
営/11:30~14:45、17:30~20:45
※スープがなくなり次第終了
休/水曜(祝日の場合翌日)
P/30台以上
中国名菜 華林【かりん】
旬のメニューから王道まで、幅広いジャンルを楽しめる万能中華料理店
『華林』の魅力は2~3週間ほど定期的に入れ替わる季節のおすすめ料理。5種類の一品料理の他、麺類、ご飯もの、小皿料理まで揃い、組み合わせればコースのように楽しめます。細かく手切りした皮つきの豚バラ肉を特製の甘辛ダレで煮込みご飯にのせた台湾料理の魯肉飯(ルーローハン)もその一例。また、地元食材へのこだわりも強く、鮮度の良さも美味しさを支えています。旬のメニューの他に定番メニューも抜群の安定感!酸辣湯麵は特製ラー油で香り豊かに仕上げた卵がまろやかな後味を演出してこれはクセになる!3種の蒸し物と春巻きがついた飲茶セットで、満足度も倍増!
隠し味はオイスターソース。仕込みに3~4時間も要するこの時期だけの逸品です。
・2001年 創業
・2002年頃 「季節のおすすめ料理条約」を打ち出す
…細かく入れ替わる季節のおすすめ料理はこの頃から提供。来るたびに違った味を楽しめるのが魅力!
・2006年頃 「酸辣湯麺の乱」が起こる
…常連さんからの要望に応えて、酸辣湯麵がメニューの仲間入り。今やお店きっての人気メニューに成長!
SHOP INFO
中国名菜 華林【かりん】
福島県郡山市菜根1-26-5
営/11:30~Lo.14:00、17:30~Lo.21:00(日曜、連休最終日17:00~Lo.20:30)
休/月曜、他不定休あり
P/15台
※この記事はaruku2019年9月号、aruku2023年9月号に掲載したものです。価格(税込表記)や内容は取材時のものです。