手に取ってもらえる福島のモノを
初めて見た時、布張りだと見間違い、まじまじ眺めて衝動買いした「会津木綿柄ノート」。和み感があるのに古臭くないこのノートが福島産だと知り、どんな人が創っているか知りたくなりました。
作っているのは長年地域の魅力を発信してきた第一印刷です。
「初代ノートは2007年に発表。会津木綿の味わいに心を掴まれ、紙文具にして多くの方に知っていただきたいと思って、2つの織元を訪ねたのが始まりです。」と話してくれたのは、商品部の泉田さん。「ノートにしたのは、奥付をつけて会津木綿の歴史や魅力をちゃんと伝えたかったから。デザイン・製造・営業の各部門からメンバーを集め、半年かけてカタチにしました。使う人に寄り添う優しいノート、大事なことを書き留めて本棚に置かれるような使い方をイメージして作っています。」
一番のこだわりは「らしさ」
一方で、印刷会社として、印刷物の価値を見直してほしいという想いもあったとか。「アイデアを出し合い、まず表紙は、布地の風合いを紙と印刷で表現すると決めました。何千枚もの紙の中から、独特の風合を出せそうなものを探し、布らしい発色と柄を表現するために何度もテスト印刷を繰り返しています。この手触りと色は職人の経験と腕があるからできたんです。
中紙は、書き心地がよくて目に優しいクリーム色の紙を選びました。罫線のデザインは、主張しすぎないものを。初代は横罫でしたが、一昨年にリニューアルした時、縦書きで俳句を書きたいというご意見をいただいたことを思い出して、縦書きでも使えるようなデザインを目指しました。布は縦糸・横糸で織られるものなので、そのニュアンスも感じてもらえたら良いなと思います。また、環境にやさしいという点で、ホチキス針を使わないアジロ綴じという方法で製本しています。」
福島の魅力、全国へ、世界へ。
現在は販路も広がり、国内はもとよりニューヨークやロンドンでも販売しているとか。「私たちがこのノートを作れたのは、会津木綿を織り続けてこられた織元があってのことです。表紙の柄の中には、今では織られていない柄もあります。敬意と感謝を込め、これからも大事に作り続けます。会津木綿を知る人が増え、興味を持つきっかけになれば嬉しいです。」
1975年(昭和50年)創業。民芸クラフト雑貨を扱う和久屋でも取り扱っています。
第一印刷がつくったものたち
【会津若松市】 七日町カフェ・福西本店・磐梯山SA上り線・会津武家屋敷・鶴ヶ城会館
【郡山市】 岩瀬書店富久山店・和久屋・K’sパペリエbyクマザワエスパル郡山1F・お土産処あさかJR郡山駅新幹線改札口
【福島市】 岩瀬書店福島駅西口店・宮脇書店ヨークタウン野田店・西沢書店北店
その他、全国の文房具店などで販売中。
※この記事はaruku2020年4月号に掲載したものです。価格や内容は取材時のものです。