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公開日:
2021.5.6
更新日:
2022.11.28

料理人|プロフェッショナル夢名鑑 

料理人|プロフェッショナル夢名鑑 

その手から作り出される料理で多くの人を幸せにする料理人。今回はarukuのA-Laboお料理教室でもお馴染みの中華料理の達人、石井シェフにお話を伺いました。

さまざまな経験を糧にできたのは、やっぱり料理が好きだからでしょうね。

炎を自由自在に操り、大きな中華鍋を振るう姿はまさに中華の達人!かっこいい!


石井さんが料理に興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?
石井 中学3年生の時に弁当チェーン店のセントラルキッチンで、高校生の時にはレストランでアルバイトをしており、その頃から将来は料理の道に進みたいなと思っていました。勉強よりも何かを作ることの方が好きでしたし、手に職を付けたい気持ちもあったんだと思います。セントラルキッチンでは、中華料理を専門とする方が料理長をしていたので、餃子の皮や肉団子の作り方を教えてもらいました。上達すると褒めてもらえるのがとても嬉しかったです。怒られていたら料理の道には進んでいなかったと思います(笑)。

料理人になるために石井さんはどのような進路を選択されたのですか?
石井 高校卒業後、お肉料理をメインにしているレストランに就職しました。見習いとして皿洗いをしたり、先輩から調理技術を教わったりしながら、2年間の実務経験を経て調理師免許を取得しました。肉の部位や焼き方などの知識を得ることができたのは、今のメニュー考案の際にも役に立っているのかなと思います。その後、知人が千葉の浦安に立つ外資系ホテルで中華の料理長を務めるということで、働いてみないかと声をかけてもらったんです。

そこから中華料理の道を歩むことになったのですね。
石井 見学を兼ねて履歴書を持っていったのですが、スケールの大きさに圧倒されましたね。料理の良し悪しはホテルの顔といっても過言ではないですし、私もこういったところで働いてみたいと思ったんです。実際に働いてみるとすごく忙しくて、若手は朝6時に出勤して深夜1時に帰宅するなんてこともよくありましたし、基本的に立ち仕事なので体力的にも辛い。先輩や上司も厳しく教わるよりも見て覚える、周りもライバル意識が高くて調理場は常に殺気立っていましたよ。

大変なことも多かったのではないですか?
石井 周りが辞めていき、仕込みや準備などを一人でやるのは大変でしたが、それでも料理の道に残ったのは仕事を覚えたい一心で無我夢中でやっていたことと、一番はやはり料理が好きだったからだと思います。ホテルなど大きなところは一つの料理も工程に分けて作る分業制なので、一つの料理を覚えるには時間がかかります。そのため、上司に船橋市の小さな中華料理店を紹介してもらい、そこで働き始めました。3人程で調理をしていたお店だったので、前菜からメインまで様々な料理に触れられる環境は新鮮でしたし、面白かったですね。調理の流れも一から叩き込めたことは私の中華料理の基礎になっている部分だと思います。

料理人人生の中で転機となったことや、嬉しかったことはなんですか?
石井 その後も各地で修行をしていたのですが、以前お世話になった先輩から副料理長として誘われたのは、管理職として経験を積む良い機会になりました。浅草の中華料理店で10人ほどの部下を束ねていたのですが、シフト管理から調理場の指揮、原価率の計算など、料理長が目指す料理をあらゆる面からサポートするのは学ぶことも多かったですね。料理人として嬉しいのは、やはりお客様の喜ぶ顔を見た時です。常連さんから美味しかったよと声をかけて頂くこともありますし、美味しいお店を紹介していただいた際には、私も食べに行き、自分の料理にも活かすようにしています。

今は郡山ビューホテルで働かれていますが、料理長のお仕事とはどんなことをするのですか?
石井 メニューの考案から調理、食材の選定、料理に関する全てを取りまとめています。お客様を飽きさせないようメニューは常に考えていて、洋食やイタリアンなどジャンルが違うものからヒントを得ることもあるんですよ。また、著名人とタイアップしたイベントで薬膳料理を振舞ったこともありましたね。現在は10人ほどの部下を抱えていますが、若かりし自分がしてもらったように調理技術を教えることもありますし、長くこの世界で活躍してもらえるよう一人ひとりの目標に向かって導いていく、人材育成も大事な役目だと思っています。

石井さんはホテルの料理長としてだけでなく、学生や一般の方にも料理を教えているんですよね。
石井 arukuで行っているA-Laboお料理教室や、郡山女子大学で指導をすることもあります。説明や対話をしながら調理するのは、ホテルやお店で料理をしているだけではなかなか経験できないことですし、教えるだけでなく私自身の学びにもつながっています。ジョークを交えながら楽しく学んだ方が料理をより好きになってもらえるし、若い子の中から将来を担う料理人が成長してくれるといいなと思っています。

料理人を目指す子どもたちにメッセージをお願いします。
石井 どんな経験も決して無駄ではありません。都会の一流店や人気店だけではなく、牛丼店や地元のレストランであっても、自分の捉え方次第で学びのチャンスに変えることができます。何事も全力で取り組んでいれば必ず見てくれている人がいるので、そこからステップアップも可能です。慣れない環境に身を置くよりも、まずは地元の飲食店から始めてみるのも良いかもしれません。

食材によって使い分けるマイ包丁は、切れ味が悪くならないよう、毎日のメンテナンスが欠かせないそう。


A-Laboお料理教室の様子。プロの技が間近で見られるとあって参加者も大盛り上がり!

お名前
石井(いしい)さん
座右の銘
自厳他寛
休日の過ごし方
愛犬と遊ぶ

※この記事はaruku2021年5月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。