トリマー｜プロフェッショナル夢名鑑　

「犬も人間同様、個性があるから面白いです」

長久保さんがトリマーになろうと思ったきっかけは何ですか？

長久保　やっぱり動物が好きだったからですね。小さい頃から犬を飼うことが夢でしたし。「トリマー」という職業を初めて知ったのは中学生の時でした。その頃、念願叶って家で犬を飼い始めたのですが、時々シャンプーをさせに専門のお店に通っていたんです。シャンプーは自宅でももちろんできますが、初めてプロにやってもらった時に、自宅でやるよりも仕上がりが全然違うのですごく感心しました。こんなに犬をきれいにする仕事があるんだなと知ると同時に、この仕事に憧れたことがきっかけとなりました。

トリマーになるため専門学校に通われたと思うのですが、どんなことを学んでいたのですか？

長久保　私が高校を卒業した時は郡山市にまだ専門学校がなかったため、須賀川市にある養成所へ通っていたんです。そこでトリマーに必要な知識やグルーミング（ブラッシングやトリミング、耳や爪の手入れ、シャンプーなどを総じて“グルーミング”といいます）を学びました。トリマーは猫やウサギなども扱うこともありますが、圧倒的に犬が多いです。ですから様々な体格、様々な毛並みの犬種に合わせたトリミング方法を覚えなくてはなりません。でもいきなり本物の犬にはできないので、最初は掃除用のモップでブラッシングの練習をしたり、新聞紙でカットの練習をしたり…と、結構地味な練習をしていました。今はぬいぐるみなどを使って練習するそうですが。その養成所で2年かけて勉強をし、トリマーとして働けるようになりました。

長久保さんは、普段どんなお仕事をされているのですか？

長久保　グルーミングの他に、お客さまの希望があればリボンをつけたり服を着せたり、おしゃれをさせることもあります。他にも、グルーミングやペットホテルの受付、ペットホテルで預かるワンちゃんの散歩や餌やりなどの世話、施術室や犬舎の掃除、ペットグッズの販売など、トリマー本来の仕事以外にもいろいろあります。飼い主さんからお手入れや飼育の相談を受けることもありますね。

併設のホテルで預かるペットのお世話も。ゴールデンウィークや夏休み、年末年始は特に大忙し！

最初はどんなことに苦労されましたか？

長久保　最初は学校の実習通りに行かないことが苦労しましたね。犬の体格もそうですが、お店では飼い主であるお客さまがどんな形にしたいか要望を受け、希望以上に仕上げるのが仕事です。ですから学校の犬とは違い、お店に来る犬はグルーミングに慣れていませんから、すぐに飽きて歩き回ったり、時にはいやがって暴れたりして、うまくやらせてくれない時もあります。そんなときは優しくなだめて、おおらかに対応するようにしていますね。自分までヒステリックに叱ると余計に犬が暴れたり、逆に怯えたりしてしまいますから。それからハサミやバリカンなど刃物を扱うときは、急に動いてもケガをしないよう特に神経を尖らせてやらなくてはなりません。トリマーは想像以上に神経と体力がいる仕事だと思います。

どんな人がトリマーに向いていると思いますか？

長久保　やっぱり第一に犬が好きであること、ですね。そして体力・忍耐力も必要です。トリミング中は何時間も立ちっぱなしですし、時には何十キロもある大型犬を抱えたり抑えたりしますから。それに、カット中は自分も毛だらけになりますし、汚れた体を洗ったり排泄の処理をしたりでニオイもついたりします。トリマーはたくさんの犬に囲まれて一見楽しそうに見えますが、決してキレイな仕事ではありません。それでも、ボサボサな毛並みだった子が見違えるようにキレイになり、飼い主の方から「きれいになったね」「可愛くなったね」と言っていただけると、とてもやりがいを感じます。そしてまたお店に来ていただけたら、こんなにうれしいことはありません。

では、ペットを飼っている方にメッセージをお願いします。

長久保　今は犬を室内で飼う方がとても増えており、同時に常に清潔にしなければならないためトリマーの必要性も高まりました。でもトリマーがキレイにしてくれるからといって、ずっと不潔なままにしていると毛並みだけでなく皮膚や体にまで影響してしまいます。なるべく自宅でもこまめにブラッシングをしたり、爪を切ってあげたり、できる範囲でいいので清潔にしてほしいですね。ペットは生き物です。最後まで責任と愛情を持って、接してあげてくださいね。

お仕事道具