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公開日:
2014.12.4
更新日:
2020.5.15

新聞記者|プロフェッショナル夢名鑑  

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記者の役割は人と人をつなぐ架け橋になる事。

全国的なニュースから、地域の情報まで一度に届ける「福島民報」の記者・三神さん。

三神さんが新聞記者に興味をもったきっかけを教えてください。

三神 子どもの頃に、祖母と文通をしていたことですね。お互い遠くに住んでいたので手紙を書いたんです。今日はこんなことがあった、給食は何が出たなど、内容は他愛もないことですけど、祖母がすごく喜んでくれたんです。私の手紙を読むと「元気が出る、一日が楽しく過ごせる」って。その頃からですね、ものを書いて伝えることの喜びを知ったのは。そのやりとりがきっかけで、新聞記者を目指すようになったのだと思います。

新聞社に入った頃はどうでしたか?

三神 新聞社は政治、経済、教育、スポーツ、芸能…など分野ごとに担当が分かれています。私が入社して最初に配属されたのは社会部でした。主に交通事故や火事など、県内で起きた事件・事故などを追います。カメラマンとチームになって取材にいくのですが、最初はやりかたがわからず、肝心なことを全く文章で伝えられませんでした。現場に行き、見たこと、聞いたことを記事にする。一見単純なようですが、なぜ起きたのか?被害はどのくらいか?防ぐ方法は?など、自ら問題意識を持って追求しないと記事は書けません。新人の頃は「これでは内容が足りない!」と上司によく怒られていましたね。

大変だと感じるときはどんなときですか?

三神 交通事故や火事で亡くなった方がいたとき、その遺族に取材するときはやはり大変です。家族が亡くなって悲しまれているときに、カメラやボイスレコーダーを持って話を聞きに行くのは申し訳ないですよね。でも遺族の方じゃないと知り得ない事実もありますし、その方が伝えたいこと、訴えたいことを聞くのも記者の役割なんですよ。

三神さんが勤務する報道部のフロア。みなさん昼間は取材に、夕方から記事にとりかかるそう。

新聞社は毎日忙しいイメージがあります。三神さんが記者として常に心がけていることは何ですか?

三神 政治情勢や災害情報は変わりやすいので、原稿を書いているときは常に時間との戦いですね。状況が変わって記事を出せない、または書き直す、なんて時もあります。でも、新聞は何年後、何十年後もずっと残るもの。ですからその限られた時間と紙面の中で、いろんな情報を見やすく、わかりやすく、伝わりやすい記事作りをいつも心がけています。特に3年前の東日本大震災の時は、みんなその思いで新聞を作っていましたね。私は当時、記事を誌面の中に組み立てる整理部という所にいましたが、当時は印刷できるページも少なく、そしてガソリン不足や道路事情で取材も容易ではなかったと思います。それでも、新聞を作る者として多くの情報を伝えるためベストを尽くすこと。それが自分たちの使命だ!という思いがありましたね。

みんなが知りたい情報を伝える記者の役割は大きいですね。

三神 でも気を付けなければならないのは、これはこうじゃなきゃいけない、実はこうなんじゃないか、などと記者が主観的になったり先入観を持ってしまうこと。意見や感想は読む人が感じることなので、記事の影響を考えて、記者は常に読者目線に立って真実を伝えなくてはなりません。新聞社をはじめ、私たちマスコミの大きな役割は点と点をつなぐこと、つまり“人と人をつなげる架け橋”になることだと思います。

新聞が人をつなげる架け橋になるとは、具体的にどんなことですか?

三神 私は今年から報道部に配属され、主に地域のイベントや講習会などの記事を担当しているのですが、イベントの取材で直接作る側の方を見たりお話しを聞いていると、やはりその思いに応えたくなってしまうんですよ。ですから、主催者や読者から「記事にしてくれてありがとう」「このイベントにいったよ」と反響があったときはとてもやりがいを感じますね。記事を読んだみんなが興味を持って、行動に移してくれる―人と人がつながる役に立てれば、記者にとってやはり嬉しいです。イベントへ行けない人にも、その様子が伝わるような内容で記事を書くようにしています。記事を書くことで福島を盛り上げて、復興の力になりたいと思いますね。

新聞社やテレビ、出版などマスコミ関係は人気の職業ですが、将来記者を目指す子どもたちにメッセージをお願いします。

三神 私が子どもの時、電子レンジはなぜ温められるの?と周りの大人に聞いてまわったことがあります。今はネットや携帯電話ですぐ答えを見つけられますが、これは何で出来ているの?雨はなぜ降るの?など疑問に思ったことは、ご両親や学校の先生など色んな人に聞いてみてください。大事なのは“直接聞く”こと。疑問が解決したり、それ以外のことも教えてもらったりすることもありますからね。それから新聞記者の仕事は体力勝負。取材で常に出歩きますし、大きな事件や災害の時はずっと取材なんてこともあります。友達と公園で遊んだり、スポーツに励んだり。とにかく体を動かして、丈夫で健康な体を作ってください。

お名前
福島民報社 郡山本社 報道部副部長 三神 尚子(みかみ なおこ)さん
出身地
福島県福島市
出身校
福島大学 経済学部
座右の銘
一生懸命
お休みの日の過ごし方
普段は買い物や料理。以前は登山や趣味で始めた太極拳もやっていたそう。

※この記事はaruku2014年12月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。