こおりやま広域圏17市町村の魅力を移住者の方の視点からご紹介する「わがまち魅力発見」。第3回は、鏡石町に移住された小柳拓未さん・比呂さんご夫妻に「わがまち」の魅力を語っていただきます。
鏡石町とは
鏡石町は、郡山市の中心部から約15km南に位置する町です。
人口:12,042人(2024年8月1日現在)
面積:31.30平方キロメートル
アクセス:
【電車】JR東京駅より東北本線鏡石駅まで約2時間、郡山駅より約15分
【車】東京より鏡石町まで約2時間45分、郡山市中心部より約30分
見どころスポット① 岩瀬牧場
1880年に開設された日本初の西欧式牧場です。文部省唱歌「牧場(まきば)の朝」のモデルとなった牧場としても知られています。現在は観光牧場として整備されており、動物とのふれあいやバーべキュー、バター作りやブルーベリー摘み、夏にはとうもろこしの大迷路などが楽しめます。
見どころスポット② 鳥見山(とりみやま)公園
町内一の広さを誇る総合公園で、町民プール「すいすい」や体育館、野球場、テニスコート、陸上競技場などのスポーツ施設が揃っています。また、春には桜が、夏には町の花であるあやめが咲き誇り、見頃を迎えると町内外から多くの人が訪れます。児童公園や芝生広場もあり家族連れにも人気のスポットです。
インタビュー:町のみなさんの協力があったからこそお店を始められました
東京で出会い、地域おこし協力隊員として移住
―鏡石町の地域おこし協力隊員に応募したきっかけを教えてください。
比呂さん 私は須賀川市の出身で、上京後に佐賀県出身の夫と出会いました。2人とも自然が近くにある環境での生活が理想だったので、結婚後は私の地元で働こうと2人で話していました。また、夫は15歳から料理の世界で腕を磨いてきたので、福島でもその経験を活かした仕事ができればと思っていました。そんなときに見つけたのが、鏡石町の地域おこし協力隊員の募集です。ミッションは、食でまちをプロデュースすること。これなら経験を活かせると考え、2人揃って応募しました。
―拓未さんは福島での生活に不安はありませんでしたか?
拓未さん 東京では目まぐるしく働くばかり。その生活を変えたいと思っていたので、前向きな気持ちが大きく、不安や抵抗はありませんでした。ただ、九州出身の私にとって寒さは予想以上でした(笑)。九州では雪が降るような寒さはほとんどありませんからね。
―地域おこし協力隊として、これまでどのような仕事をしてきましたか?
拓未さん 町内外の学生さんと一緒に、地元の農産物を使った6次化商品の開発に関わりました。最初に作ったのは、県立岩瀬農業高校の生徒さんと共同で開発した「愛情たっぷりん」。高校生が名前を考え、ラベルのデザインも作ってくれました。高校生が育てたニワトリの産みたて卵の黄身だけを使った濃厚なプリンです。イベントでは毎回100個、200個の単位で売れる人気商品でした。現在は製造する工場の問題などから販売をストップしていますが、また作ってみなさんに喜んでいただきたいですね。
比呂さん 郡山女子大学附属高校の生徒さんとは、鏡石を代表する農産物の一つであるいちごを使ったデザートを作りました。未利用の町内産いちごを有効活用しようと考えたデザートでした。
町の農産物をふんだんに取り入れたビストロを開店
―協力隊員として働く一方、2023年11月には、ご自身たちのお店「poco a poco(ポコ・ア・ポコ)」をオープンしました。どのような経緯でスタートしたのでしょうか。
拓未さん 協力隊の活動を通じたさまざまな出会いがお店のオープンにつながりました。鏡石町健康福祉センターほがらかんで、町内にお住まいの方をターゲットに親子で参加できる料理教室を開催したことがあります。生産者の方にも参加していただき、野菜の魅力を生産者目線で紹介してもらったうえで、その食材を使って料理を作ってもらう料理教室です。そうした活動を通して、生産者とも消費者とも深い関係を構築できました。
この店舗はもともと空き物件でしたが、リフォームする際も、町内の方々が水道工事などで親身に手助けしてくださいました。そうした方々がいなければ、このお店が出来上がることはなかったと言っても過言ではありません。本当は30代や40代になってから開業できれば良いかなと思っていましたが、このタイミングでお店を持つことができたのは、地元のみなさんが私たちを温かく迎え入れてくれたからだと心から感謝しています。
―お店ではどんな料理を提供していますか?
拓未さん イタリアンをベースに、鏡石の野菜をふんだんに使ったコース仕立てのランチを楽しんでいただいています。使用する野菜の8割以上は地元の生産者さんが作ったものです。コース以外に単品のパスタも提供しています。
―シェフの視点から見た鏡石の農産物の魅力を教えてください。
拓未さん フルーツのおいしさは圧倒的ですね。糖度の高さや程良い酸味は、私が生まれ育った九州のフルーツとはまったく違うもの。この土地の寒さがあるからこそ作られるものだと思います。特にいちご、桃、シャインマスカットの3つは本当においしいですね。お店でも、いちごやシャインマスカットのシーズンにはテイクアウトでフルーツサンドを販売しています。
地域のルールを守る心がけが大切
―実際に住んでみて感じる鏡石町の魅力を教えてください。
拓未さん 自然が豊かで落ち着いた住環境に一番の魅力を感じています。鏡石駅から歩いて10分ほどのところには鳥見山公園という大きな公園があって、よく2人で散歩に行きます。赴任2年目には町内で開催されるロードレース大会に2人で出場しましたが、そのときはよく鳥見山公園で練習しました。
比呂さん 一方、車で15分ほど走れば生活に必要なものがひと通り手に入る須賀川市の中心部に、さらに郡山市にも30分ほどで行けるので、買い物に困ることがないのも魅力です。ただ、冬は雪が降りますのでスタッドレスタイヤは必需品ですね。
町がコンパクトなことも特徴の一つです。車があればもちろん便利ですが、なかったとしてもそれほど不便は感じないと思います。秋には鏡石駅前で、『鏡石「牧場の朝」オランダ・秋祭り』が開催されます。「鏡石にこんなに人がいたんだ!」ってびっくりするぐらい多くの人が集まる楽しいお祭りです。
―移住で気をつけるべきことはありますか?
比呂さん 鏡石に限らず、地域を尊重する心がけは必要だと思います。いきなりハッキリものを言う方がコミュニティに入ってくると、びっくりさせてしまうかもしれません。
拓未さん 都会では隣に住む人はあくまで他人ですが、田舎では隣の人が他人ではなくなる感覚があります。近所の方々との距離感の考え方は意識して変えていかなければいけないと思います。
―あらためて、移住を考えていらっしゃる方に、鏡石町への移住の魅力を教えてください。
比呂さん 田舎への移住は、都会に比べてお店や娯楽が少ない分、時間やお金に余裕をもって生活できると思います。家賃も圧倒的に安くて、東京では考えられない価格帯で広い物件に住めます。今、鏡石町では、郡山市や白河市で仕事をしている子育て世代の方がベッドタウンとして家を建てるケースが増えているようです。便利さを感じながら自然も感じられる、両方の魅力が鏡石町にはあるからだと思います。
イベント紹介
2024かがみいし田んぼアート「豊作万歳!稲刈り祭り」
かがみいし田んぼアートの絵柄の緑色の部分のみ稲刈りを行い、以後は3Dアートとして、11月初旬頃まで楽しむことができます。
■「豊作万歳!稲刈り祭り」
日時:2024年10月12日(土) 9:00~12:00(8:30~受付開始)
会場:鏡石町図書館(かがみいし田んぼアートほ場)
料金:無料
参加特典:豚汁、田んぼアート米特製おにぎり等
詳細はこちら
https://www.town.kagamiishi.fukushima.jp/kurashi/nougyou/kankou/011952.html
稲刈り参加お申込はこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeHPQKUvQkI08_Ttp3wDPKygLI1_x0YmCkj9XrZd4HtoH5J_g/viewform
※この記事2024年10月に制作したものです。内容は取材当時のものです。