今回の巻頭特集のテーマは“日本酒”。何かとお酒を飲む機会が増えるお正月だからこそ、お酒好きの人はもちろん、ふだん飲まない方も福島の日本酒の魅力に触れてみませんか。
酒蔵見学で魅力発見!日本酒造りの現場を知りたい!
全国に誇る銘酒はどうやって造られるの!?実際に酒蔵見学に出かけて、蔵人たちのこだわりに触れてきました。
日本一の酒蔵で、生きた日本酒造りに触れる。
訪れたのは『末廣酒造 嘉永蔵』。古くから酒造りの盛んな会津若松の中でも江戸時代末期からという長い歴史を持ち、「訪ねて楽しい日本酒の蔵元ランキング」で日本一に輝いたこともある人気の酒蔵です。当時の面影を残す威風堂々とした木造三階建ての建物で、酒造りの現場を見学させていただきました。「日本酒の原料は米・麹・酵母・水。蒸した米のデンプンを麹でブドウ糖に糖化させ、さらに酵母のはたらきでアルコール発酵させることで造られます。同じ原料を使ったとしても発酵の進み方には個性があるから、全く違うお酒が生まれるんです」と酒蔵を案内していただいた蔵人の庄司さん。なるほど、仕込み蔵の中はフルーツのような甘い香りが広がり、大きなタンクの中にはぷつぷつと気泡を出しながら今まさに発酵中のもろみの姿が。日本酒って生き物なんだと実感できます。
「低温でじっくり発酵させることが美味しい日本酒作りには重要です。日本酒造りは今が最盛期。室温が高いときには氷を入れ、逆に温度が低くなりすぎたときには服(布)を着せたりと、こまめな温度管理が欠かせません」。こうしてたっぷり愛情をかけて発酵させたもろみを、昔ながらの搾り機でゆっくりとろ過させることで、澄み切った上質な日本酒が出来上がります。見学を終えた後は併設された酒蔵ショップで試飲や購入ができるのも見どころのひとつ。中にはこの嘉永蔵でしか販売されていないものも!手間ひまかけて造られたお酒はどんな味なのか、6~10種類ほどの試飲で飲み比べを楽しむことで日本酒造りの奥深さをいっそう感じることができました
大きなタンクの中には今まさに発酵中の日本酒が。純米酒で約20日、大吟醸ともなると1ヶ月以上時間をかけて発酵させるそうです。
日本酒造りに欠かせない蒸米の工程。蒸した酒米は手作業で冷まされます。
酒造りに使われていた伝統的な道具も展示。
地下から湧き出す嘉永蔵の天然水。取材中も汲みに来る人が途絶えず、おいしいお酒ができる理由をここにも発見!
珍しい昔ながらの搾り機は今でも現役。1本絞るのに3日もかかりますが、その分の感動もひと塩!
(左)鑑評会で金賞を受賞した最高級品。大吟醸玄宰 5,400円、(中)嘉永蔵でしか手に入らない!嘉永蔵 大吟醸 2,880円、(右)酒蔵仕込みの梅酒は女性におすすめ!会津高田梅 梅酒 1,620円
江戸時代末期の面影を色濃く残す『嘉永蔵』は、野口英世が訪れたことでも知られ、最後の将軍徳川慶喜の書を見ることもできる、歴史的にも価値のある建物。当時の写真などもあり、歴史好きなら一度は訪れたい場所でもあります。
女性にとって絶対ハズせないのがこちらの酒蔵カフェ。シックな調度品と低い梁に何ともいえない落ち着きを感じます。大吟醸を使ったシフォンケーキや酒蔵仕込みの甘酒など、酒蔵ならではのメニューにほっこり♪
世界にひとつの“my酒造り”
『嘉永蔵』では会津産の酒米と天然水を使い、杜氏から直接指導を受けながら自分たちだけのお酒造りもすることができます。大人気のため今季の受付は終了とのことですが、来年以降の予約は随時受付中です。
SHOP INFO
末廣酒造 嘉永蔵
会津若松市日新町12-38
営/9:00~17:00
料金/無料(団体のみ要予約)
9:00~16:30まで30分ごとに案内(所要時間約30分)
※この記事は2016年1月号に掲載したものです。価格や内容は取材時のものです。
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