「6次化」がどういうものなのか分かったところで!果樹園の強みを活かしての新たな取り組み。地元のためにゼロから始めた農業。それぞれの「6次化」事業と、その思いをお聞きしました。
いわきおてんとSUN企業組合(いわき市)
地域の未来を地域自らでつくる
東日本大震災によって大きな被害を受けたいわき市で、以前から地域づくりなどの活動に取り組んできたメンバーが集まって立ち上げられた「いわきおてんとSUN」プロジェクト。復興や地域の未来に向けて、自然エネルギーによる発電事業や被災地の視察などさまざまな事業を行っており、その1つが「オーガニックコットンプロジェクト」。
震災後、風評被害や後継者不足によって農業を断念してしまう農家が増える中で、使われていない農地を利用して酒井さん達はコットンを育て始めました。食用ではなく、海辺でも育てられるコットンを有機栽培で育て、製品化、販売まで自分達で行っています。
おてんとSUNが育てるコットンは、日本で古くから作られてきた「茶綿」という在来種。お茶のような色と、弾力ある綿が日本人の肌によく合うそう。「今では育てている方も少なく、栽培も手探りでした」。収穫した綿は種と分けられ、糸になり、手ぬぐいやTシャツ、たおるハンカチなどさまざまな製品に加工されます。どれも和綿ならではの、しっとりとした肌触りを活かしたものばかり。 酒井さん自身コットン事業を通して、改めて日本の伝統産業であるモノづくりの魅力を感じたといいます。いわき発のオーガニックコットンが福島の、そして日本の誇るべき名産品になっていけばステキですね。
お話を伺った人/酒井 悠太さん。工房にあるのは茶綿用に作られたガラ紡機。
ここで買えるヨ!
道の駅よつくら港、小名浜美食ホテル、オンラインショップ「潮目」
http://shop.iwaki-otentosun.jp/
大野農園
「農業の可能性を広げたい」加工品の開発や農園イベントを企画
大野栄峰さんは東日本大震災の翌年、実家に戻り、果樹園を継ぎました。大学卒業後、東京でモデルをしていたという大野さんは、後継者とはいえ農業はまったく未経験。けれど、だからこそできることがあるのではと、自らの視点で新しい農業へのチャレンジを始めたそう。
まずは農園の法人化。「どうしても農業は忙しい時期とそうでない時期がある。だから1年を通して仕事を作ることを考えたんです」。そこで、農園で栽培した果実の加工、販売に取り組んだり、農園でさまざまなイベントを開催したりするようになったとか。
大野農園の自慢は、土づくりからこだわって栽培しているりんご、桃、梨。それぞれの味と香りを最大限に活かしたジュースやジャム、お茶やビールは、フルーツのおいしさがたっぷり詰まったものばかり。最近の人気はフルーツを食べながら飲む新感覚のフルーツティーやフルーツで仕込んだフルーツラガー。おしゃれなパッケージはギフトにも人気です。
農園でのイベントは春の花見(果樹の花見です!)、夏のビアガーデン、そして秋の果物狩りなどで、農園に足を運んでもらい、農業を身近に感じてもらいたいとの思いから始めたそう。さらに、福島の果実や新鮮野菜を使ったピザは、キッチンカー「オラゲーノ」で県内あちこちに出店。最近は県内各地の野菜農家の参加もどんどん増えているそうです。
新商品の開発やイベントの企画、さらにこれからはまったく違う業種とのコラボなど、まだまだ農業の可能性を広げたいと大野さん。「農業は手をかければかけただけ結果が出る。これからも福島の魅力を発信したい」と、話してくださいました。
お話を伺った人/代表取締役 大野 栄峰さん
ここで買えるヨ!
JR新白河駅、JR福島駅、DUCCAエスパル福島店、八幡屋、いわき・ら・ら・ミュウ、みりょく満点物語、道の駅ひらた、スパリゾートあぶくま、福島空港、大野農園直売店、HP
※この記事はaruku2016年2月号に掲載したものです。