山と田んぼが続く道、目印の看板を曲がって斜面の上に見えてくる赤い屋根が、やい子ばぁちゃんのお店です。この日は、庭先に梅が干してあり、土間には朝採りのトマトにゴーヤ。御年85歳のばぁちゃんに笑顔で迎えられ、何故か田舎に“帰ってきた”という気分です。
築100年、毎年手入れをしながら住み継いでいるという大きな農家。カフェ空間はリノベーションされ、上品な雰囲気。
案内された2階のカフェは、大きな梁と土壁の落ち着いた空間。(正直、外観からは想像がつかないくらいお洒落で、びっくり。)ここは昔、牛の飼料になるワラの貯蔵庫だったとか。家は古くからの大百姓で、米・野菜を作り、かつてはたばこや養蚕も手掛けていたのだそうです。ばぁちゃんが牛車で嫁入りし、毎日薪でお風呂を焚いていたという話も、ここでなら遠い昔話じゃなく、今につながる暮らしとして感じられます。今でも、卵は飼っているニワトリからとり、カフェで提供する有機野菜や米もほとんど自家栽培。お嫁さんの美代子さんが「トマト採ってくるね」と駆けて行くほど新鮮な野菜を食べれる、現役農園のカフェなのです。
ばぁちゃんの話を聞きながら、お肉の焼けるい~匂いに期待感を膨らませていると、運ばれてきたのは、色鮮やかなお料理!(このシチュエーションで、これほど豪華な料理が出ることに、またびっくり。)「いしかわ牛」のローストビーフにはナツハゼソースが添えられ、柔らかな肉質の赤身に、コクのある爽やかな酸味が良いアクセントです。「好きなだけ食べて」と出されたトマトは果肉が厚く、種類ごとに違う風味が楽しい。白茄子は熱々の味噌グラタンになり、黄色いトマトは香り立つコンソメスープに変身。野菜の食感も、バジルや大葉の香りもシャキッとして、シンプルなおひたしさえ感動的に美味しいのです。
実は美代子さんは管理栄養士で、6次化商品の開発にも取り組まれているほど。なるほど、また“帰りたくなる”ようなカフェ。遠くから通われる方が多いのも納得です!
10月のメニューは、いしかわ牛のローストビーフ ナツハゼのソース、トマトのコンソメスープ、ささぎのおひたし 大葉味噌、白茄子の味噌グラタン、有機米のごはん、米粉のシフォンケーキ、ドリンクで、2,160円。必ず予約してからお訪ね下さいね。
石窯で焼く「県産小麦粉ピザ」は、パリッと食感の生地に、フレッシュなトマトとバジルをのせた絶品。ピザ焼き体験も可能です。(要予約)
カフェで提供しているお米とほとんどの野菜は、自前の田畑で栽培。化学肥料や農薬をできるだけ使わない安心の素材です。
やい子ばぁちゃんの家は、石川町のブランド牛「いしかわ牛」の繁殖を担う現役畜産農家。卵も飼っているニワトリからとっています。
※この記事はaruku2017年10月号に掲載したものです。価格や内容は取材時のものです。