女性のための医療コラム
「スカートのサイズが乳がんリスクに関連?!」
今、日本人女性の12人に 1人が乳がんに罹患すると言われています。乳がんとは乳腺から発生するがんで、女性ホルモン(エストロゲン)が発症・増殖に重要な働きをしています。乳がんは、がんのなかでも、日本女性がかかる割合(罹患率)がトップであり、50年前は50人に1人だった罹患率が、今はその4倍と増加の一途をたどっています。そこで今回は、乳がんに関する興味あるトピックスをご紹介します。
肥満と乳がんの関係
乳がん発症のリスクには、主に初潮年齢が早い・遅い(平均年齢は10~15才)、閉経年齢が遅い(平均年齢は45~55歳)、家族・親族に乳がんの人がいる、などがあげられますが、食の欧米化に伴う“肥満”もそのひとつと言われています。ロンドン大学の研究者達は、閉経後の女性9万3,000人のデータを解析し、20代後半から 60代半ばの間に、スカートのサイズが10年間にワンサイズ上がると乳がんリスクが33%も上昇すると報告しています。閉経の前後に分けて検討してみると,特に閉経後の女性は肥満が乳がん発症リスクを高めているようです。肥満は乳がんを含め、高血圧や糖尿病など生活習慣病のもとになるもの。食生活やライフスタイルを見直すことはやはり大切ですね。
乳がんと闘う食物
乳がんは早期に治療することで90%治ると言われています(日本では40歳以上の女性に2年に1度の乳がん検診を勧めています)。治療方法には手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法などがあり、新しい薬や治療法の開発が世界の研究機関で進められています。最近では、アメリカのセントルイス大学の研究でゴーヤーのエキスが乳がん細胞を抑制する効果が、また、シカゴ大学統合がんセンターではキャベツ・ブロッコリー・カリフラワー(アブラナ科)の植物に含まれているスルフォラフアンが、乳がんの予防や治療に役立つ可能性があると発表しております。これらの食物が将来、がん治療に役立つ日が来るかもしれませんね。
お話をうかがった先生
富永國比呂先生
1975年、岩手医科大学医学部卒業、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程修了。日本産科婦人科学会専門医、日本性感染病学会会員、医学博士、米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)、国際個別化医療学会幹事、Personalized.Medicine Universe査読委員。
※この記事はaruku2018年5月号に掲載したものです。