家づくりのプロとして、綿密な打ち合わせのもと、数ヶ月もの期間をかけてお客様の夢をかたちにする大工さん。どんな人が向いているの?どうしたらなれるの?工房夢蔵の佐々木大平さんにお話をうかがいました。
自分で自分の家を建てるという夢に向かって取り組んでいけば、必ず面白くなる仕事だと思います。
工房夢蔵で大工として働く佐々木大平さん。なんでも作ってしまう先輩方の発想力や技術力の高さに憧れを抱いているそう。新築住宅の仕事を中心に経験を高めているそうです。
佐々木さんが普段使っている大工道具を見せていただきました。時代の変化とともに、昔ながらの道具に加え、電動工具なども使われているそうです。
大工になったきっかけを教えてください。
佐々木 自分は高校生になってから建築業や物を作ることについて意識し始めました。実際に外壁や足場などのバイトを経験することで現場仕事の楽しさを感じ、なかでも「家って、こうやって作られていくんだ」と知ったときは衝撃的でした。そのことがきっかけで、現場で働く仕事の中でも一番格好良く見えた大工になろうと決めました。
高校を卒業後、すぐに大工を目指さなかったのはなぜですか?
佐々木 自分も最初は卒業してすぐ大工に、と考えていましたが、そのことを父親に話したとき、「今の時代は知識が必要だ」と言われたことがきっかけでした。でも自分は、専門学校で実技や※CADの勉強などができて良かったと思っています。
※コンピューターを使って設計・デザインすること。
大工のお仕事について教えて下さい。
佐々木 一般住宅の建築や、店舗改装の工事など様々なことに携わっています。大工は柱を立てるといった重労働のイメージが強いですが、家を一棟建てるには綿密な打ち合せが何度もありますし、加工の際なども家が完成したあとの10年後、20年後の状態を見据えて取り組まなければならないので、頭を使う仕事が多いです。
自分たちの仕事では木の加工も行うので、図面を見て材料の配置や、大きさ・長さを大工が見やすいように手板に書いたり、木に墨を付けて刻んだり、長さが足りなければ木を継ぎ足したりと、様々なことを計算したり考えたりしています。そうやって1から製作することで、お客様の希望する家づくりができるようになります。そして、その過程で木の性質を学んだり、道具の使い方や技術を学んだりすることができるので、意外とすることや覚えなければならないことも多く、とても奥が深い仕事です。
大変なことはありますか?
佐々木 下積み期間が長いことが大変です。最初は単純な作業や雑用も多く、大工としての面白さがわかりづらいかもしれません。朝早くから道具の準備や掃除をしたり、下地などの仕上げに関わらない仕事をしたりするので、自分の将来像を明確にイメージしておかないと挫折する人もいます。また、先輩や親方などに様々なことを教えていただける反面、指摘されたり注意されたりもします。ですが、技術的なものを習得するためには焦らずに我慢することも必要で、仕事の流れや内容がわかるようになってくると、奥深さが増して、感動が味わえるようになります。
あとは、暑さや寒さなどの自然環境を相手にしたり、体力勝負な面もあったりするので体調管理ができることも大切です。
やりがいを感じるときは?
佐々木 家が完成したときや、地図に載ったときはものすごく嬉しいです。さらに、引き渡しの際にやりがいを実感することも多いです。感極まって泣いてしまうお客様もいるので、家づくりに関われた喜びや、無事に引き渡せてよかったという安心感などもすごく感じます。
佐々木さんにとって大工の魅力はなんですか?
佐々木 木があれば足りない物や必要なものを何でも作れてしまうことが一番の魅力だと思います。自分は今年で4年目になりますが、まだまだ修行中の身です。これからも、大工に必要な知識や経験を磨いて、いつか先輩や親方のように、その腕ひとつで物づくりができる、尊敬される大工になりたいです。
そして、大工になったからには自分の家を自分で考えて建てたいという夢があるので、そういった夢が叶えられるようにこれからも頑張っていきたいです。
Q&A
Q.どうすれば大工になれますか?
A.特に条件はないので、体を動かすことが好きな人や、住宅や木に興味のある人が良いと思います。ですが、知識や経験も必要な業種なので、建築科以外の高校を出た人は専門学校等に進学することやバイトなどで一度経験してみるのも良いかと思います。
Q.必要な資格や向いている性格はありますか?
A.資格が必要というわけではありませんが、「大工技能士」や「建築士」などを取得しておくと良いと思います。性格は、元気があって、よく話せる人が向いていると思います。初めのうちは自分から積極的に質問することが大切な仕事なので、コミュニケーションが取れ、元気よく挨拶ができることが大事です。敬語も話せると良いです。
- 工房夢蔵 大工 佐々木大平(ささき だいへい)さん
- 出身地
- 福島県郡山市
- 最終学歴
- テクノアカデミー郡山 建築科
- 休日の過ごし方
- 休日を楽しく過ごすことが大切だと思うので、友達と海へ遠出をして釣りをしたり、イベントに参加したりしています。最近はサーフインに挑戦中です。
※この記事はaruku2018年9月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。