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公開日:
2013.12.28
更新日:
2020.5.15

社会福祉士|プロフェッショナル夢名鑑

社会福祉士|プロフェッショナル夢名鑑

「人を支え、その人らしい生活を送れる力になりたい」

関根さんが福祉の仕事に興味を持つきっかけは何でしたか?

関根 私が高校生のとき、あるニュースを見たことがきっかけです。それは母子家庭で餓死するというニュースでした。この豊かな日本で餓死する、ということが当時とても信じられなくて、なぜそんなことが起きたんだろう?なぜ国はこの家庭を助けられなかったのだろう?と思い、生活保護や福祉について詳しく知りたいと思うようになったんです。そのことをきっかけに、大学進学を決めるときも福祉の勉強ができる学校へ進みました。

大学ではどんな勉強をしていたのですか?

関根 社会福祉や法律に関することなど、授業科目はいろいろありました。社会福祉士の資格試験前は自宅の鏡石から大学がある福島市まで、毎日電車通学の時間を利用して勉強していましたね。でも福祉施設で実習に訪れたときに、これまで勉強していたことや、頭の中で考えていたことが現場では全然通用しないと感じたんです。施設で過ごしたり、人と関わり合って初めて知ることや、自分のまだまだ足りない部分など色々気づかされることが多かったです。私が実習したところは利用者の方々がみんな楽しそうで、施設全体の雰囲気も明るかったんです。就職するときはこんな職場で働きたいなあ、と思いました。そこが、今私が働いている“救護施設 郡山せいわ園”なんです。

利用者の方々に声をかけながら、気になることはすぐにメモを取っているそう。

社会福祉士とはどんな仕事をする人ですか?

関根 社会福祉士は主に経済的、身体的な理由で日常生活を送るとこが難しい方の相談に乗ったり支援をする職業ですが、その仕事は働く場所によって様々です。介護施設や児童福祉施設、行政や病院など福祉に関するいろいろな場所で活躍できますが、仕事のあり方によっては介護や保育、あるいは看護などの専門性を求められたりもします。私は社会福祉士として働き始めてから、介護福祉士の資格も取りました。施設にはお年寄りや障害を持つ方もいらっしゃるので、介護の技術も必要になってくるんですよ。仕事をしながら勉強し、介護福祉士、ホームヘルパー2級などの資格も取りました。法律や福祉に関する勉強会や研修などにも参加しています。社会福祉士はその資格だけでなく、幅広い知識や常に変わる社会情勢を把握し、プラスして専門技術を身につければさらに活躍の場を広げられる仕事だと思いますね。

関根さんの普段のお仕事について、教えてください。

関根 普段は利用者のお話を聞いたり、相談にのったりすることが私の主な仕事です。私の働く救護施設は、病気やケガで一人では生活ができないなど、何かしら事情のある方が一時的に利用する場所です。そんな方々が自分らしい生き方を送るためには、一人ひとりのことを理解して、その方に合った生活支援を考えないといけません。約90名が利用する施設ですから、生活において不便なことや人間関係など、やはり何かしら問題は出てきます。そこで出た問題を他の職員や看護師さん、先生など周りのスタッフと連携して解決につなげています。

利用者みなさんの良き相談相手になっているんですね。

関根 でも、人に相談するってなかなか勇気がいるんですよね。園内には私が受け持つサロン(相談室)があるのですが、最初のころは利用する方が少なかったのです。なので自分からまめに話しかけたりして、話しやすい関係を普段から作ることを心がけました。そのうち、相談がなくてもふらっとお話しにきてくれたり、話をしたらスッキリしたと言われるようになったりと、サロンに来てくれる方が段々増えたんです。休み明けに利用者の方から「あなたの顔を見れなくて寂しかった」と言ってもらえたときは、すごく嬉しかったですね。

利用者の方がここを出るときは、やはり寂しい気持ちになりますか?

関根 そうですね。救護施設は社会に復帰するための“リハビリの場所”ですから、いずれ社会に復帰することを目的としています。でも、施設を出たらそこで終わり、じゃなくて、何かあったらいつでも相談に来ていいんだよ、とそんな気持ちで送り出しています。利用者の方がここを出るときはやはり不安を抱えていますから、その方が社会生活を送るときの心の拠り所でありたいですね。

関根さんはこのお仕事を通してどんなことを感じますか?また、将来どんな社会福祉士になりたいと思いますか?

関根 今の時代、人間関係が希薄になっていると言われています。社会生活の中で誰にも相談できず、一人で抱え込んでしまうから、先のような悲しいニュースが出てきてしまうのかもしれません。もっと、他人に頼ってもいいのかなと思いますね。自分もわからないときはすぐ人に頼っちゃうところがありますし、逆に人に頼りにされると嬉しいですから。でも、口では言えても中々そうはいかない場合もあります。そんなときのために社会福祉士がいるんです。人に寄り添う立場で、その人の生きる力、希望を引き出し、人と社会をつなぐ事ができるような、そんな社会福祉士になりたいですね。

園内にあるサロンで利用者の生活相談や悩みなどを聞く関根さん

同じ職員室で働くみなさんと

お名前
救護施設 郡山せいわ園 副主任相談員 関根 由希恵(せきね ゆきえ)さん
出身地
福島県鏡石町
出身校
福島学院大学 福祉学部 福祉心理学科
取得資格
社会福祉士、介護福祉士、ホームヘルパー2級、社会福祉主事、普通救命講習科
休みの日の過ごし方
お出かけが好きで、街をまわりながらカフェやお店を開拓すること。

※この記事はaruku2014年1月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。