髪型を美しくするのはもちろん、メイクアップやネイルケア、着付けなど、その人の要望や目的に応じて活躍する美容師。どんな人が向いているの?どうしたらなれるの?今回はarukuの表紙モデルのヘアメイクでお世話になっているSanaEさんにお話をうかがいました。
その人の長所を活かすヘアメイクをすることが私の使命だと思っています。
arukuの表紙モデルのヘアメイクをすべて担当しているSanaEさん。モデルさんと一緒に現場に同行して活動することも多く、ヘアメイクの技術はもちろん、撮影場所での和やかな雰囲気作りにも一役買っています。
SanaEさんが使っているメイク道具たち。ブランドにこだわらず、目的に応じたものや使いやすいものを仕入れて使っているそうです。
美容師になったきっかけを教えてください。
SanaE 母が美容師で、小さい頃から美容室に行くことが多かったこともあってか、幼稚園の卒園アルバムには将来の夢がパーマ屋さんと書いてありました。その後もその夢だけは変わらず、中学生の頃には美容師となって世界の技術も学びたいと考えていたので、英語が学べる高校、そして美容師の専門学校に進学し、今に至る感じです。
専門学校の勉強の中で印象に残っていることはありますか?
SanaE ロンドンへの短期留学があり、現地でお客さまの髪をカットする研修が勉強になりました。高校生の時にオーストラリアでホームステイをした経験があったので、お客さまが話していることはわかりましたが、専門用語などがわからなかったので、ジェスチャーなどもふまえて頑張りました。
その他にも、色彩学はお客さまに似合うカラーを提案するうえで今も役立っていますし、課外授業の舞台メイクや特殊メイクは、同じメイクでもだいぶ目的が違うので印象的でした。※ワインディングのコンテストで選抜大会に出場したことも思い出です。
※美容室等でパーマをかける際、頭髪にロッド等を巻く作業のこと。
美容師のお仕事について教えて下さい。
SanaE 美容師の仕事は「準備8割」といわれています。その中の一つとして、サロンの掃除には特に力をいれています。昔から掃除がきれいにできないと、技術も成長しないといいますし、お客さまがきれいになる場所はきれいにしておかなくちゃいけないですからね。
残りの2割が、「技術と提案力」です。お客さまに似合う髪型、流行などを提案できるように、美容師はアンテナを高くして情報を仕入れています。私は他の地域で活動している方のブログなども参考にして、流行はポイントづかいするように意識しています。その他にも、新しい薬剤などがでたらメーカーからの講習会がありますし、良しとされている技術も更新されていくので、お客さまが求めるものが提供できるように日々努力しています。
今はヘアメイクを中心に活動していますが、なぜヘアメイクに特化しようと思ったのですか?
SanaE もともと、スタイリストになって10年くらい経験を積んでからヘアメイクだけに特化しようと考えていました。ですが、美容室に勤務しているときに震災を経験して、今日・明日がどうなるか分からない状態になったとき、何か、やり残したことはないかと考えたんです。その時、「ヘアメイクを極めたい!」と思ったので、その年の5月には独立して、ヘアメイクに特化した美容師になろうと決意しました。最初の頃は、独学の部分も多かったので、現場の応用力を身につけるのは大変でしたが、やりがいや楽しさも感じていたので、その辺は表裏一体ですね。
やりがいを感じるときは?
SanaE 誰にでも必ずチャームポイントがあるので、お客さまの長所を活かすヘアメイクをさせていただくことが私のやりがいです。ヘアメイクは短所を隠すためにすると考えられがちですが、第三者から見たイメージを演出することで、お客さまに似合った「好印象」を提供し、お客さまが自分のコンプレックスを乗り越え、ありのままの自分を受け入れる手助けをさせていただけたら幸いです。
あとは、arukuの撮影以外にも、結婚式やイベントなどで、ヘアメイクを担当した方からお手紙を戴いたり、「SanaEさんにお願いして良かった」と言ってもらえたりと、ダイレクトに評価していただけることもやりがいですね。最近いただいた言葉の中で嬉しかったのは、「撮影現場の空気感を作ることが上手だね」と言ってもらえたことです。
SanaEさんにとって美容師の魅力はなんですか?
SanaE 様々な世代の、様々な方たちと出会えることをはじめ、撮影の同行を通して普段行かない場所に行けることや別のプロフェッショナルの方とお仕事ができることです。その他にも、直接お客さまの感想が聞けることや、誰かに自分の技術を見ていただけること。形に残る仕事ができるということも嬉しいですね。定年がないのでずっと現役で働けることや誰かのためにお仕事をさせていただけることも魅力だと思います。
Q&A
Q.どうすれば美容師になれますか?
A.美容師の国家資格を得るためには、厚生労働省が指定する美容学校で、専門学校なら2年、通信教育なら3年間在学し、国家試験に合格することが必要です。専門学校に通うことが一般的ですが、美容室で現場経験を積みながら通信教育で勉強する方もいます。
Q.必要な資格や向いている性格はありますか?
A.まずは「美容師国家資格」が必要です。将来独立してお店をもつことを考えているなら「管理美容師」も必要になります。最近では、トータルビューティーの視点から「着付け技能士」や「ネイリスト」、「メイクアップ」などの資格も重宝されており、「色彩検定」や「色彩技能パーソナルカラー検定」の資格なども取得すると美容師としての強みになるでしょう。
お客さまとのコミュニケーションが不可欠な仕事なので、人と関わることが好きな人や奉仕の心を持っている人。また、視覚優位で感性を磨くのが好きな人が向いていると思います。
- SanaE(サナエ)さん
- 出身地
- 福島県郡山市
- 最終学歴
- 国際理容美容専門学校 美容科
- 趣味
- 歴史やDNA心理学アドバイザーの勉強。
- 休日の過ごし方
- 読書や市外へのプチ旅行をしています。
※この記事はaruku2018年10月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。