介護を必要とする方が、自分らしい生活を送り続けられるように、身の回りの介助や支援、相談と幅広く活躍する介護福祉士。どんな人が向いているの?どうしたらなれるの?今回はグループホームすずらんに勤務する赤城捺美さんにお話をうかがいました。
利用者さんが、これまで大事にしてきた習慣やこだわりを守りながら生活できるようサポートすることが私の仕事です。
介護福祉士を目指したきっかけを教えてください。
赤城 私が中学生のときに祖母が介護福祉士のお世話になる機会があり、人のお手伝いができる素敵な仕事だと感じたことが大きな理由です。そこで、専門学校に進学して介護の道に進もうと考えました。小さな頃から祖父母や村のお年寄りに囲まれて育ったので、優しく声をかけてくれる高齢者の方々と関わることが好きだったことも理由の一つです。
専門学校の勉強の中で印象に残っていることはありますか?
赤城 利用者とのコミュニケーションを図るための授業です。「一つのワードからどのくらい会話が広げられるか」「気持ちが明るくなるには、どういう会話をしたらいいのか」など、人と関わる上で大切なことが学べました。
その他にも、介護に必要な技術や知識を学ぶ中で、「介護食を実際に食べさせてもらったらどんな気持ちになるのか」といった利用者側になって体験する機会があったことも印象に残っています。実際に介護食を食べさせてもらったときは、食べた気がしなかったり、味気ない感じがしたりと、普段自分で食べるときとはだいぶ気持ちが違うということもわかりました。
介護福祉士のお仕事について教えて下さい。
赤城 介護福祉士は国家資格です。そのため、介護の知識と技術があることが大前提となります。その上で、グループホームやデイサービス等の在宅介護サービス、施設、病院など、それぞれの現場のニーズや状況に応じた身体介助、生活支援、介護の相談といった大きく3つの役割があります。
私たちが勤務するグループホームでは、利用者さんの毎日の生活を自分らしく有意義に過ごしてもらえるよう、24時間体制で生活支援をしています。要支援2から要介護5の認知症の方々を対象に、食事・排泄などの日常生活の介助や、食事の準備・買い物といった家事全般の支援、余暇活動の充実を図ることで、家庭で過ごすのと同じような生活ができるよう一緒に活動したり、サポートしたりしています。それでも、本当はご家庭で生活したいという気持ちが強いと思うので、私は普段から明るく元気な雰囲気で接するよう心がけています。芋煮会や行楽行事の企画や利用者さんの誕生日に要望を叶えてあげて楽しんでもらうことも大切な仕事です。
赤城さんが普段、仕事の中で気をつけていることは何ですか?
赤城 「朝は新聞を読む」「髪型のセットはこう!」といった利用者さんの習慣を、グループホーム内でも続けていけるように、リハビリや体を動かす機会を作り、少しでも自立した生活が送ることができるように気をつけています。その上で「認知症がある方たちをどう支えていくか・一人ひとりが持っている力を引き出せるよう働きかけるためにはどうすればいいか」と日々試行錯誤しています。
また、大事なご家族の命を預かっているという自覚を持つことで、利用者さんの体調や表情、顔色などの小さな変化も見逃さないよう常に気を配っています。特に季節の変わり目・感染症が流行する時期は、予防対策や室内の温度調整などにも注意しています。
赤城さんにとって介護福祉士の魅力はなんですか?
赤城 自分たちが何かを働きかけたことで、利用者さんの笑顔が見られたり、喜んでくれたりしたときに、この仕事を続けていて良かったなと感じます。また、利用者さんが「困ったな、助けが欲しいな」と思ったときに、自分を頼ってくれたときは、ちゃんと信頼されているのだと温かい気持ちになります。もちろん、感謝の言葉をいただけたときも嬉しいですね。「あんたいつも元気でいいね」とか、「見ていて元気になるよ」など、普段仕事の中で心がけていることに気づいてもらえたときもやりがいを感じます。
赤城さんは将来、どんな介護福祉士になりたいですか?
赤城 利用者さんに、「あなたがいてくれて良かった」と思ってもらえるような存在になって、信頼関係を築けるようにしていきたいです。そして、施設の先輩方のように一人ひとりと向き合って、相手の思いや願いを引き出せるような関わり方ができる介護福祉士になりたいと思います。
Q&A
Q.どうすれば介護福祉士になれますか?
A.介護福祉士は国家資格です。その受験資格を得るためには大きく3つの方法があります。①厚生労働省が指定する福祉系の専門学校や大学を卒業する方法。②介護業務の実務経験を3年以上積んだ上で「介護職員実務者研修」を修了する方法。③福祉系高校等を卒業する方法。いずれの方法でも国家試験に合格することが必要です。また、資格取得後は、現場での実務経験を経て、「介護支援専門員(ケアマネジャー)」を目指す方や、認知症サポーター養成講座等を受講して自身のスキルを高める方も多いです。
Q.どのような性格の人が向いていますか?
A.利用者とのコミュニケーションが不可欠な仕事なので、相手の気持ちが受け止められる物腰の柔らかさ、奉仕の精神が必要だと思います。相手に元気を与えられる人、明るくお話が好きな人も向いているかもしれません。実際に施設でのボランティア等を通して、現場の空気や特徴を感じてみることもオススメです。
- 赤城 捺美(あかぎ なつみ)さん
- 出身地
- 福島県耶麻郡北塩原村
- 最終学歴
- 仁愛看護福祉専門学校 介護福祉科
- 趣味
- ショッピングをして気分転換をすること。
- 休日の過ごし方
- 旅行やオシャレなカフェでランチをすること。
※この記事はaruku2018年11月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。