地元の暮らしを調べるには、地元の先輩に聞くのが一番!郡山市富久山町の元気なお婆ちゃん達に話を伺ってきました。
左から角田さん、吉田さん、原さん
冬には冬の生活があった。
aruku 「冬の暮らし」というと、どんな事がありましたか?
角田 白菜の長漬けや沢庵は漬けました。友達にご馳走したり作り方を教え合ったりね。
原 2月の、節分の食べ物ってのは特にないけど、豆は撒いたね。豆炒って、枡に入れて、ちゃんと神様に上げて。神棚と、あと「お佂様」って言って台所の神様にも上げて。
吉田 あとは甘酒かない。お粥に麹を入れてね、2~3日もすると飲まれるもんね。
原 昔は囲炉裏だったから、囲炉裏にかけて温めてみんなで飲んだの。
角田 私らの時代は囲炉裏で料理もしたからね、鉤(かぎ)に鍋ぶら下げたり、餅を焼いたり。あと、冬は、蓑(みの)つくり。蓑と笠ってあるでしょ、蓑がないと畑仕事すんのに濡れっから、冬場に作っておくの。寒くないように「紙張(しちょう)」を吊って、広い部屋を3畳くらいに仕切って作業したもんだね。
原「紙張」って、障子紙の蚊帳みたいな物だよね。柿渋を塗って丈夫にした物。紙張の中に火鉢をいれて暖めたんだよ。笠は、あれは売ったんだね。農閑期の仕事だね。
aruku 風邪予防にしていたことは何かありますか?
原 ネギは焼いたよ。囲炉裏のアク(灰)は熱いばい。その中にネギを入れて、やらかくなったら包んでのどに巻くんだない。
角田 私はゴボウ。ゴボウと削り粉を湯飲みに入れて、味噌で味付けて、お湯で飲んだよ。
吉田 うちは薬があったけど… あぁ、富山の薬売りが昔から来てたね。半年に一回位しか来ないんだけど、薬を買うと紙風船をもらえっから、みんなそれが欲しくて。重宝だったわね。
角田 昔は薬屋さんなんて近くになかったからね。あとは生姜湯を飲んだり、葛湯を飲んだり。
吉田 私は和裁をやってたから綿入れなんかもよく作ったよね。
昔話ではなく、80代のお婆ちゃん達が若い頃の、そう遠くない福島の風景。生きた知恵として受け継ぎたいことが沢山ありました。
※この記事はaruku2014年2月号に掲載したものです。