福島の農業の魅力や他県に自慢できるポイントを、復興庁クラウドファンディング支援事業福島県地域コーディネーターを務める小笠原さんに紹介してもらいました。ふだん何気なく食べていた野菜や果物に込められた生産者の想いや新しい農業への取り組みを知ると、収穫の秋がますます楽しみになるはずです。
何を食べても美味しい!ハイレベルな福島の農産物
他県から移住してきた私にとって驚いたのが、福島県では朝採れの新鮮野菜がいつでも身近に手に入るということ。福島に住んでいると当たり前と思うかもしれませんが、これは本当に恵まれていると思います。実際に、桃やりんご、梨といった果実をはじめ、きゅうりやいんげん、アスパラガス、米など幅広い種類で全国でも5本の指に入る生産量を誇っています。広大で地域によって特徴の異なる気象条件にも恵まれた福島は、何を作っても美味しく育つ、農業には打ってつけの環境だと思います。
震災を乗り越え、全国屈指の安心・安全性を実現
福島の農業を語るうえで、やはり震災は切っても切れない出来事です。震災前までは普通に育てれば高い評価で売れていた福島県産の農産物は、原発事故や風評被害により大きく評価を落としてしまいました。ただその分、福島の生産者たちはどうしたら消費者から認めてもらえるか、どこの県よりも努力を重ねてきたと思います。特に安心・安全の徹底には力を入れており、その検査基準の厳しさは世界一と言っても過言ではありません。逆境を乗り越えた福島の農産物を、まずは福島に暮らす私たちが地産地消で応援したいと考えています。
福島オリジナルのブランド農産物も続々登場!
何を食べても美味しい福島の農産物ですが、中には福島でしか味わえないオリジナルブランドもあります。郡山の風土に合わせ、200~300種の中から吟味して味にとことんこだわった郡山ブランド野菜は、生でも食べられるフルーティな「佐助ナス」や、料理の主役にもなれるインゲンの「ささげっ子」などが旬を迎えています。他にも福島県が日本で初めて自然環境の中で栽培する技術を確立したオリジナル品種の「ほんしめじ」は松茸と同じくらいの価格で取引されているとても希少な品種で、見た目も美味しさもスーパーに並ぶものとは全く別物!せっかく福島に住んでいるのだからこうした県独自のブランドに目を向けてみるのも楽しいと思います。
生産者の顔を直接見る農業との新しい関わり方に注目
消費者の中で生産者の顔が見えることに安心感を覚える動きが広まっているのと同じように、生産者の方でも食べる人の顔を意識した取り組みが進んでいます。その代表例が体験できる農園です。たとえば、農園に泊まって農業体験をする。たとえば、農園で採れた野菜をそのままレストランで味わう。果樹園でもぎたての果物を味わうことだって、福島に住んでいれば気軽に楽しむことができます。体験を通すことで、ただの野菜や果物に「○○さんが作った野菜や果物」という付加価値が加わり、愛着も増すはずです。また、積極的に開発が進んでいる六次化商品が充実しているのも福島の農産物の特徴で、多彩な楽しみ方ができるのも魅力だと思います。
お話を聞いた人
小笠原 隼人さん
2012年に埼玉から福島にIターン移住。株式会社エフライフ代表として、地域の「食」と「職」に出逢うローカルスナック「SHOKU SHOKU fukushima」や福島県の老舗酒蔵のお酒と蔵人厳選のおつまみのマリアージュセットを届ける「fukunomo」などを運営し、福島の農業生産者とのつながりも深い。8月には地産地消をテーマにしたスパイスカレー専門店「with curry」がうすい百貨店内にオープン。
一流シェフ監修!福島の食材を使用したカレー屋さん、with curry【ウィズカレー】がうすい地下1FにOPEN
※この記事はaruku2020年9月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。