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公開日:
2021.1.1
更新日:
2021.1.6

福島の伝統を継ぐ人「野沢民芸」福島県西会津町

福島の伝統を継ぐ人「野沢民芸」福島県西会津町

愛くるしい郷土玩具に 新たな息吹を吹き込む。

愛嬌のある顔やゆらゆらと首を揺らす姿に癒される赤べこや、転んでもすぐ起き上がる姿が微笑ましい起き上がり小法師。400年以上に渡って身近に親しまれている福島を代表するお馴染みの郷土玩具です。時代の変化や職人の減少に伴い、年々工房が少なくなっている中、西会津町にある「野沢民芸」では、伝統の民芸品にとどまらない会津張子の魅力を発信し続けています。

絵付師の早川美奈子さん。新しいデザインに挑戦するたびにステップアップできることがやりがいにつながっていると言います。

青海波柄の赤べこは、お客様からのリクエストで青い赤べこに加えて作ったもの。丑年の今年にぴったりの縁起の良い一品です。

「伝統の絵柄とは違う赤べこを作るようになったのは震災がきっかけでした。復興の想いを込めて(平穏な暮らしを願う意味がある)青海波の紋様をあしらった青い赤べこを作ったんです。当初は商品化することは考えていませんでしたが、たくさんの方からこれが欲しいと言ってもらえて。そこからいろんなものが生まれていきましたね」。絵付師の早川さんは会津張子に大きな可能性を感じた契機をこう振り返ります。今ではこれまでになかったカラフルな赤べこからリサ・ラーソンやバーバパパとコラボしたものまで、「野沢民芸」の会津張子は年々進化を遂げています。

女性絵付師さんを中心に丁寧な絵付けの作業が行われています。完成までには最短でも1週間は要すると聞き驚き。

竹ざるをかぶった犬張子をヒントに生まれたリサ・ラーソンとのコラボの猫張子。※野沢民芸では非売品ですが、リサ・ラーソンオフィシャルショップ等で購入可

親しみやすさの源は伝統に向き合うこと。

会津張子の新しい表現法を積極的に取り入れていく一方で、伝統のモノづくりを大切にする想いも強く持っているという早川さん。
「私たちが作っているのは高価な作品ではなく、誰もが気軽に手に取れる商品。一つひとつ手描きで絵付けをしているのでよく見ると微妙に表情が違いますが、だからといって自己流に絵付けをすればいいものでもありません。線一本の強弱やパーツのバランス、描く順番などを守って商品としての許容範囲で美しく仕上げることが大切です。慣れてくると許容範囲をはみ出してしまい、お客様にも違和感が伝わってしまうので、初心を忘れず丁寧な絵付けを心がけていますね。一日に絵付けできる数は限られますが、購入した方に喜んでもらえるとやっぱり嬉しいです。新しい赤べこや小法師がそこにちょっとした特別感をプラスできたら」。昔ながらの赤べこにも新しいアイデアの小法師にも変わらぬ親しみやすさを覚えるのは、こうしたモノづくりへの真摯な姿勢があるからなのかもしれません。

首が揺れると音楽にのってる感じが可愛いヘッドフォン赤べこ!大人気のため受注ストップしていましたが、2月から再販予定です

落ち着いた色合いの赤べこにarukuスタッフも一目惚れ!

着物や食器などに使われてきた和の模様をあしらった起き上がり小法師。顔はなくても可愛らしさは変わらず!

他の地域の民芸品の製作依頼も受けているのだとか。福島のモノづくりが全国に広まっています。

SHOP INFO

野沢民芸

福島県耶麻郡西会津町野沢上原乙2704-2

※この記事はaruku2021年1月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。