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公開日:
2022.3.31
更新日:
2022.6.1

東京丸の内のシェフが感じた、故郷・郡山の“人”と“食”の魅力とは?

東京丸の内のシェフが感じた、故郷・郡山の“人”と“食”の魅力とは?

去る2022年3月23・24日、郡山産農産物PR事業の一環で、東京のコンテンポラリーレストラン「THE UPPER」のシェフ・徳島 亨さんが郡山を訪れました。目的は郡山の食材を産地で実際に見て、料理にして、魅力を感じてもらうこと。その際に感じた郡山の野菜、肉、そして鯉についての魅力を徳島さんに伺いました。


訪れたひと:徳島 亨さん
福島県郡山市出身。ホテル日航東京(現ヒルトン東京お台場)レストランや都内ビストロを経て「トランジットジェネラルオフィス」に入社。数店舗の立ち上げに携わり、2020年11月東京丸の内のコンテンポラリーレストラン「THE UPPER」のシェフに就任。郡山の鯉を食材に使ったこときっかけに地元・郡山の生産者と交流を持つようになり、郡山の食に対する思い入れも大きく持つようになったそう。

郡山の食とつながるきっかけをくれた、熊田水産の鯉


徳島さん 実は昨年、「フランス料理の祭典で郡山の鯉を料理に使ってみたい」と郡山市の園芸畜産振興課の方に連絡をしたことがきっかけで、郡山の食や生産者さんとのつながりを持つようになりました。それまでは故郷でありながら郡山の食のイメージってあまり持っていなかったんです。そして鯉と言うと「泥臭い」「美味しくない」「かたい」という印象を持っている方が多いと思いますが、自分もそうでした。でも実際に郡山の鯉を食べてみると、身もしっかりしていて臭みも全くない。程よい弾力で、淡白な味だからフレンチにも合うかなと思い、食材に選んだのです。


徳島さん そして熊田水産さんの養殖池を実際に見てみると、青々とした広大な池に鯉がのびのび泳いでいて、公園の池のイメージと全く違っていました。出荷前は地下水を入れた生簀で体を整えているから、澄んだ肉質になって泥臭さもほとんど消えちゃうんです。鯉が池の泥を食べないよう、エサの管理が徹底されているからなんでしょうね。料理にしてみると鯉の身は柔らかくも弾力があって食べ応えもありますし、料理を召し上がったみなさんみんな「鯉のイメージが変わった」と驚かれています。私自身も、この鯉と出会ってイメージが変わりましたし、今では本当に大好きな食材です。鯉は「洗い」や「甘露煮」が定番かもしれませんが、実は中華やイタリアン、カレーなどどんな料理にも合うので無限の可能性を秘めた食材だと思います。

熊田水産の生簀。年間約10万匹の鯉を養殖し、全国へ出荷されています。大きいもので50㎝以上の大きさになり、出荷する際は全て放射性物質検査を行っていますが、熊田さんの鯉は検出限界値未満のみを出荷!


今回徳島さんが作った「鯉のパイ包み焼き」。ソースに使っているのはなんと鯉の内蔵から骨、エラなど!淡白ながらも程よく脂のりも感じる鯉の身に、爽やかな大葉と濃厚ソースがマッチして「鯉ってこれほど高級感のある食材なのか!」と驚きました。これは郡山市民の皆さんにぜひ食べてほしい…!!

鈴木農場で感じた、フロンティア精神から生まれる野菜たち。


徳島さん 郡山の野菜についても、生産者の方々に合って初めてその魅力や野菜の持つポテンシャルを感じましたね。今回訪れた「鈴木農場」さんは郡山ブランド野菜を始め、定番から珍しいものまでたくさんの野菜を生産していますが、実際に食べて感じたのは、そのままでも野菜本来が持つ甘み、苦味をしっかり感じることができること。時おり、ここから野菜を取り寄せてはレストランのメニューで提供しているのですが、どの野菜も特徴が立っているのでどうアレンジするか、どの食材と組み合わせてみるか、料理のしがいがありますね。


徳島さん 4代目の鈴木智哉さんもまだ20代ながら野菜づくりに関してとても研究熱心ですし、SNS等での情報発信や体験企画などにも取り組んでいらして『未来につなげる農業』をされていると感じました。郡山には鈴木さんのように、情熱を持った若い野菜農家の方が多いと伺います。生産者さんとのつながりを持つようになって、私も凄く大きな刺激を受けています。

年間350品種もの野菜を栽培している鈴木農場。この日訪れた時期は種類が少ない時期でしたが、鈴木さんにハウスを案内していただきながら郡山ブランド野菜の冬花衣(ふゆはなごろも)や春菊、じゃがいも、マイクロリーフや食用花などをチョイス。


料理では文字取り華やかなサラダの他、付け合わせとしてメイン料理を引き立てる存在を発揮しました。ちなみに先ほど紹介した鯉のパイ包み焼きに添えているのも、鈴木農場の「冬花衣」。

愛情かけて育てられた期待を裏切らないうねめ牛の肉質


徳島さん 最後に訪れた「うねめ牛」を育てている肥育農家「武田ファーム」さんですが、まず驚いたのは牛舎がきれいに管理されていること。掃除が行き届いていて牛たちもストレスが無いのか、のんびり餌を食んだり寛いでいたりしていましたね。そしてそばに来ると寄ってくるような人懐こい牛たちもいて、武田さんを始めスタッフの皆さんが愛情かけて丁寧に育てているのを感じました。


徳島さん うねめ牛の魅了は脂がとてもさっぱりして、また噛めば噛むほど旨みを感じる肉質が特徴だと思います。サシが入っていても重くならず、キメ細やかな食感だからシンプルにソースや塩だけで美味しさを十分に感じられます。武田ファームさんの餌は麦やトウモロコシ、ビールかすなど人が食べられる飼料をブレンドしていたり、目を見ただけで牛たちの健康状態を把握したりと、上質な牛肉に育てるためのこだわりや管理レベルの高さに驚かされました。だからあれほど上質な肉に仕上がるんだなと納得です。

厳しい基準をクリアした牝牛だけが称号を得られるうねめ牛。武田さんのうねめ牛は「全農肉牛枝肉共励会」で3度「最優秀賞」を獲得。「私たちの仕事は命を育てることでもある」と話す武田さんに、徳島さんも私たちarukuスタッフも命をいただくということに、改めて感謝を感じさせられました。


うねめ牛のランプ肉を使ったオーブン焼き。柔らかな弾力とさっぱりした旨みあふれる肉に、特製のソースとニンニクピューレがマッチ。添えている鈴木農場のじゃがいもはホクホク感とみずみずしさがあり、お互いを引き立て合っていました。


試食会では和やかな雰囲気のもと、徳島シェフが鯉、うねめ牛、野菜を使った特別料理を生産者さん達に振舞いました。ハイセンスなフレンチ料理を目の前に、皆さん「言葉にならないくらい美味しい」「野菜が牛肉や鯉を引き立ててすごくマッチしている!」「美味しく食べられる幸せを感じました」と大好評。


徳島さんは「郡山の食は肉、魚、野菜とどれも素晴らしく、また自分の料理を生産者さん達に食べていただくという今までにない貴重な体験をすることができました。お話の中では震災による風評被害もまだまだ残っていて、続けていく大変さも感じました。けれどその分、新しい取り組みにチャレンジしたり国内外に発信したり、高い情熱も同時に感じることができました。私も料理人として、今回使った以外の食材など幅広くチャレンジしてみたいですし、郡山の食材を東京のレストランからも広めていきたいです。またこういった機会があればぜひ参加したいですし、生産者の方々とのつながりも続けていきたいですね」と締めくくりました。

武田ファームの武田晃一さん、鈴木農場の鈴木智哉さんと。

今回使った食材はこちらで購入できます!
/うすい百貨店(TEL.024-932-0001 郡山市中町13-1)※鯉の甘露煮が購入できます。
うねめ牛/肉のニッタ(TEL.024-922-7689 郡山市虎丸町9−10)
野菜/鈴木農場直売所(TEL.024-951-1814 郡山市大槻町北寺18)

SHOP INFO

郡山市園芸畜産振興課