施術をきっかけに患者さんが自分の身体に興味を持ってくれることが喜び

「施術→運動→栄養、美容など、お客様のニーズやステージに合わせてサービスを提供してまいります。」と話す影山さん。
柔道整復師、鍼灸師とはどんなお仕事ですか?
影山 柔道整復師は、骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの急性期のケガを改善させるお仕事です。鍼灸師は鍼、灸を使い、本来人が持っている自然治癒力を高める治療法になります。東洋医学に基づき、360以上あるツボの中から選定し、身体の不調を改善していきます。
日本には、柔術という古くから伝わる武術があります。柔術は大きく殺法と活法に分けられ、殺法は相手を倒す技術、活法は人を助ける技術を指します。この活法が柔道整復師の技術の元となり、国家資格として現在に受け継がれています。一方、鍼灸師は、鍼やお灸を使い、人の体に直接、ほんの少し傷を付けることで、コリや痛みをほぐしていきます。柔道整復師と同じく、こちらも国家資格となっています。
この仕事を志したきっかけを教えてください。
影山 学生時代にサッカーをやっていて、将来は学校の体育の先生になってサッカーの指導がしたいと思っていました。一方、部活動では怪我をすることも少なくありませんでした。怪我をする度に大人にサポートをしてもらうなか、痛んだ身体を整える「先生」もいることを知り、この仕事に興味を持ちました。高校卒業後、柔道整復師の資格を取るために専門学校に進学。無事に資格を取得し、卒業後は郡山市内の整体院に柔道整復師として就職しました。
鍼灸師の資格はいつ取得したのでしょうか。
影山 実際に患者さんと関わってみると、自律神経が原因の痛みなど、急性ではなく慢性の痛みを持つ方も多いことを知りました。そうした痛みに対応するためには東洋医学的な考え方も必要だと考え、専門学校に再入学しました。昼間は柔道整復師として働き、夜は学校に通って、3年かけて鍼灸師の資格を取得しました。
現在は独立してご自分の整体院を運営されています。独立のきっかけを教えてください。
影山 この資格を取ろうと思ったときから、「将来は独立しよう」「いつかは院長になろう」と思っていたんです。そのためには何より経験が必要と考え、約10年間、他の方が経営する整体院で働きました。独立してからすでに10年が経ち、今年2月にはありがたいことに郡山市富田町に2院目をオープンします。
他の整体院との違いやこだわりを教えてください。
影山 技術だけに頼らない治療を心がけています。いろいろな角度から症状を捉え、痛みを和らげる方法を考えること。そして、その意識や経験をスタッフ全員で共有していることが、他の整体院と最も違うところだと思います。
患者さんとのやりとりではどんなことを心がけていますか?
影山 初診の患者さんに対しては、30分程度時間をかけて問診するようにしています。じっくりお話を聞くと、昔の骨折が別の箇所の痛みにつながっていたり、精神的なトラウマが痛みになっていたりと、患者さんご自身も気づいていない原因が見つかる場合があるからです。
やりがいを感じるのはどんなときですか?
影山 患者さんの調子が「勝手に」良くなったときですね。院に来ていただければ、当然ある程度は良くなります。でも、そのまま自動的に良くなり続けることはありません。ある程度良くなったことをきっかけに前向きな気持ちが芽生え、自分の身体に興味を持ち、日頃の行動を変えてみたりすることで、初めて痛みのない状態が持続しやすくなるんです。少し偉そうな言い方になってしまいますが、そんなふうに患者さんが自立したり成長したりして、院に来なくても勝手に良くなっていくことが、僕にとっての一番のやりがい。気持ち良いと感じる揉みほぐしだけでは、人の身体は治らないというのが僕の持論です。
患者さんとのやりとりでうれしかったことを教えてください。
影山 独立開業するまでいくつかの整体院に勤めましたが、「影山さんにお願いしたいから」と言ってわざわざ新しい勤め先に来てくださる患者さんが多くいらっしゃいました。そうした患者さんとの出会いがうれしいです。
でも、最近はそれ以上に「スタッフの○○さんは上手だね」などと褒めていただくことのほうがうれしいですね。自分が大切に守り伝えてきたことが間違っていなかったことの証明でもありますから。「自分じゃないのか…」と少し悔しい気持ちもありますけどね(笑)。
子どもたちへメッセージをお願いします。
影山 自分の身体に興味を持ってほしいです。怪我をしたとき、病気になったとき、運動が上手にできたときやできなかったとき、それだけで終わらずに、自分の身体と向き合い、その理由を探ってみてはどうでしょうか。小学生や中学生の頃から身体に興味を持つことができれば、みなさんが大人になる頃、福島県はもっと健康的な県になっているはずです。

郡山市富田町に2院目を開店。将来的には5院程度まで増やし、スタッフの活躍の場を作りたいと言います。

施術中の影山さん。患者さんの痛みを理解するためにも適度なコミュニケーションが重要です。
プロフィール
【お名前】
影山さん
【最終学歴】
福島医療専門学校鍼灸科
【趣味】
サッカー、ランニング、子どもと遊ぶこと
※この記事はaruku2025年2月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。