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公開日:
2025.4.15
更新日:
2025.4.15

呉服店経営|プロフェッショナル夢名鑑

呉服店経営|プロフェッショナル夢名鑑

日本人の正装でもある着物のプロフェッショナル。呉服店の経営者にお話をうかがいました。

晴れ着姿を見たご家族が喜ぶ姿を見れることがやりがい

つねに笑顔で取材に応じてくれた本田さん。「呉服業界は厳しい環境にあるので、人一倍努力しないと」と語ります。

呉服店とはどんなお店ですか?
本田 着物を販売・レンタルする和服の専門店です。家族の着物を自分用に仕立て直したり、持っている着物に合う小物選びをしたりと、着物にまつわることならどんなことでも相談に乗っています。

お店にはどんなお客さんがいらっしゃいますか?
本田 成人式や卒業式、結婚式、七五三といったお祝いの場や、浴衣やお茶会などの行事のために着物を購入・レンタルしに来られる方が多いです。着物には、季節や場に応じた決まり事があります。例えば結婚式でも、友人などの参列者は「訪問着」という華やかな着物を着ますが、親族は紋が入ったものを着るのがマナー。親族の中でも、新郎新婦の母親や叔母は黒の「黒留袖」で新婦を引き立て、姉妹など近い親戚は淡い色の「色留袖」で場を彩ります。着物は不慣れという方が多いからこそ、安心してその場を楽しめるようなお手伝いをしています。

どんな着物が似合うのか、わからないという人も多そうです。
本田
 特に成人式の振袖は、色も柄もさまざまなものがあり、悩みながら選ぶ方が多いので、一人ひとりの雰囲気から似合う色、好きな色・柄を絞ってご提案します。家族で相談して振袖を選ぶ体験って、着る日と同じくらい思い出になると思うんです。時間も気にせず選んでいただけますし、何度も来店して決める方も多いです。仕入れた着物を気に入ってもらえて、晴れ着姿を見たご家族が目を潤ませ喜ぶ姿を見た時にはやりがいを感じます。

今のお仕事に就いたきっかけを教えてください。
本田 この店は父が開業して私で2代目です。小さい頃から家業は継ぐものと考えていました。専門学校を卒業後は、まずは着物のことを勉強したくて東京の日本橋にある着物の卸売業者(製造業者と販売店をつなぐ業者)に就職。3年間、仕入れや製造の技術、品質などの専門知識を学びました。その時の経験は、良い商品を仕入れたり、その良さをお客様に伝えたりする時に役立っています。

継いだ後、大変さは感じましたか?
本田 バブル経済の影響で着物はたくさん売れましたが、その後は着物離れが進みました。父からは自分とは違ったことをやりなさいと言われていたこともあり、20年ほど前にインターネット事業をスタート。当時、ネット通販をしている呉服店はほとんどなく、着物を販売したとしても、値段は卸売業者には勝てません。でも、うちには仕立ての技術や、昔から付き合いのあるクリーニング店のつながりがある。これを活かして、加工やクリーニングを安価で受けることで、商圏を全国に広げていくことができました。

着物離れが進んでいることについて、どのようにとらえていますか?
本田 多くの国では民族衣装を含め自国の文化をとても大切にしていますが、日本ではお祝いの場でも着る機会は減っています。でもやっぱり着物っていいものだし、着ることそのものが思い出になる。一人でも多くの方に着物に触れてもらい、着物の文化を伝えたくて、当店では品質の良い正絹の振袖を安くレンタルしています。家計に負担をかけたくないからと、成人式や卒業式のために自分でお金を貯めて来店する学生さんもいらっしゃいます。

着物文化を伝えていくために、ほかに取り組んでいることはありますか?
本田 着物は着付けの大変さをハードルに感じる方が多いです。圧迫感で着物を着るのが嫌になってしまうことは避けたくて、スタッフ同士で締め付けの少ない着付けを研究しています。上下が別で、帯がマジックテープになっている簡単に着られる着物の開発も行っています。普通、着付けは30分ぐらいかかりますが、これなら一人で洋服に着替えるぐらいの時間できれいに着られます。デニム地だったり、中にレースやシャツを忍ばせたり、個性を出せる着こなしも良いですよね。

本田さんが感じる和服の良さとはどんなものですか?
本田 帯の結び方や柄に意味があるのは、洋服にはない良さだと思います。例えば結婚式の時に新婦が着る「白無垢」は、幸せが重なるように二重にした「お太鼓」という結び方で仕上げます。成人式の着付けを任せてもらう時は、もっと飛躍していけるようにと願いを込めて、帯は上に向けて結びます。

これを読んでいる子どもたちにメッセージをお願いします。
本田 私は人の役に立つことで、生きていることの実感がわきます。時間は有限で、あっという間に年も取っちゃう。毎日何かを一生懸命やることで、自分の大切にしたい何かを見つけられるのではないでしょうか。

その方に合った呉服屋目線でのコーディネートを提案する本田さん。

マジックテープで簡単に装着できる帯。着物も上下分かれたセパレードです。

プロフィール

 

【お名前】
 本田さん
【最終学歴】
 東京スクールオブビジネス専門学校
【好きな言葉】
 全力投球
【休日の過ごし方】
 家族とカフェ


※この記事はaruku2025年4月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。