自分が努力してきた分、お客さんが喜んでくれる。それがパティシエなんです。
パティシエになりたいと考え始めたキッカケは何ですか?
穂積 私の実家は和洋菓子店を営んでいて、小さい頃からずっと菓子職人の両親の背中を見てきたんです。小さいお店ではあったんですけど、お菓子を買ったお客さんがみんな笑顔になっていて。そんな光景を見てきたから、自然と同じ道を歩みたいと考え始めましたね。
それに、クリスマスや結婚式などのイベントがある際は、箱詰めなどの作業を家族みんなでやっていて、私自身、自然とお菓子作りに携わっていたんです。そういった経験も今思えば、お菓子の世界に興味をもったキッカケなのかなと思います。
どのようにしてお菓子の知識や技術を学んだのですか?
穂積 製菓の専門学校に入学して2年間、お菓子作りの技術はもちろん、紅茶やコーヒーの淹れ方を始めとする“お菓子全般の基礎”を学びました。チョコレートの温度を下げる「テンパリング」という技術があるのですが、その作業姿がすごいカッコイイなと思って、学生時代は必死で練習をしましたね。卒業した後は将来的には多彩なジャンルのお菓子を作りたいと考えていたので、東京のホテルやレストランなど、様々なお店でパティシエとしての修行を積みました。
最初の修行期間はやっぱり大変ですか?
穂積 当時は確かに辛い思いもしましたが、そこを乗り越えないと先にあるお菓子の面白さを感じることが出来ないと考えていたので、無我夢中で頑張りました。それになにより、同期の中で「1番になりたい」という思いの方が強かったんです。だから朝早めに出社して、あらかじめ計量や洗い物などの自分の仕事を終わらせた後に、先輩に頼んで新しいことに挑戦させてもらったり、仕事が終わった後も練習用のクリームを使ってデコレーションの練習をしたりと、いかに自分を成長させていくかを常に考えていました。
向上心を忘れず、お菓子作りに取り組んできたのですね。
穂積 向上心を忘れないことは今でも大切にしています。趣味でよく旅行に行くのですが、どうすれば面白いお菓子が作れるかを旅行先でも考えちゃうんですよね。世界遺産を見れば、その形状や雰囲気をどうすればお菓子で表現できるのか、日常でもホームセンターに行ってトタンを見つければ、この波々の形を何かに使えないかとか。そんなことばかり考えています。
どのようなときにやりがいを感じますか?
穂積 やっぱりお客さんが僕の作ったお菓子を見たり食べたりして、笑顔になってくれる瞬間がなにより嬉しいです。もちろん、どの仕事にも言えることなのですが、大変だと思うことはあります。だけどそれ以上に、お客さんの喜んでくれている姿を見ると、作って良かったって心から思えるんです。
パティシエを目指しているお子さんにメッセージをお願いします。
穂積 よく「パティシエになるにはセンスが必要ですか?」と聞かれるのですが、センスはあってないものだと思うんです。自分のことを不器用だと思っている方でも、器用な人が5回練習するところを50回練習すればいいだけで、自分もそうであったように沢山練習すれば、自信にも繫がるんです。まずは向き不向きを考えず、素直な気持ちで頑張ることが一番重要なことだと思いますよ。
Q&A
Q.パティシエってなに?
A.パティシエとはフランス語で、男性の洋菓子職人のことを指します(女性の場合はパティシエール)。一言で洋菓子職人といってもケーキを始めとする半生菓子やババロアなどの生菓子、マドレーヌといった焼き菓子など製作するものは多岐にわたり、近年では女性に人気の職業の1つとなっています。
Q.資格は必要なの?
A.自分でお店を開店する場合は「食品責任衛生者」の資格が必要になりますが、パティシエになるための特別な資格はありません。関連資格として、「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」の資格があれば就職する際に有利になります。
Q.どうやったらパティシエになれるの?
A.パティシエになりたいと思えば、菓子店にアルバイトから始めてもパティシエになることは可能です。ですが、調理師学校や製菓学校などに入学し、あらかじめ基礎を身に付けたうえで洋菓子店やレストランなどで経験を積み、独立するのが一般的な流れになっています。
- 国際ビューティ・ファッション専門学校 講師 穂積 良幸(ほづみ よしゆき)さん
- 出身地
- 福島県石川郡石川町
- 出身校
- 日本製菓専門学校
- 休日の過ごし方
- 休日はご家族みんなでお菓子作りや、お菓子屋めぐりをしているそう。
※この記事はaruku2017年2月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。