イベントとは人と人とが繋がる場所
年間30以上のイベントをプロデュースしているという五十嵐さん。グルメイベントやキャラクターショーなど、幅広い分野で活躍されています。
五十嵐さんはなぜこの職業に就こうと思ったのですか?
五十嵐 もともと映画好きで高校生の頃はよく映画館に入り浸っていたのですが、ある日突然、館長さんから「試写会の企画をしてみないか」と誘われたんです。最初はえっ!と驚きましたが、作品選びから告知CMの制作など、やってみると本当に面白くて。映画館の方の手助けがあってのことですが、自分で企画した何かを大勢の人の前で披露する“楽しさ”を初めて実感しました。それから広告代理店に就職し、広告における様々な制作物に携わる中で、特にやりがいを感じたのが、イベントのプロデュース業だったのです。この道一本でやりたい、そう思い切って独立しました。
イベントプロデューサーとはどのような仕事なのですか?
五十嵐 展覧会やコンサートなどの企画立案から開催まで、イベント全体の統括を行うのが主な仕事です。具体的に言うと、お客さんがどのような目的でイベントを開催したいのかをヒアリングすることから始まります。「もっと会社のことを知って欲しい」とか、「商品のPRをしたい」とか、目的が違えば形は大きく変わりますからね。その後、実際にプランを立てるのですが、その際に意識するのが“集客数”です。商品には販売数、テレビには視聴率があるようにイベントは、どれだけ人を集められたかが評価の基準になります。先方の意向に沿いつつ、集客が望めるように組み立てることが、何より重要なのです。それに、この仕事の醍醐味は何と言っても一発勝負だと言うこと。イベントは僕一人の力ではなく運営や機材、広告など多くのスタッフの協力のもとに成り立っています。クライアントや参加者はもとより、全スタッフの想いも背負っているので、失敗は絶対に許されません。最高責任者なだけに大きな責任を伴いますが、数ヶ月かけたプロジェクトが終わった後のビールは、本当に最高です。(笑)
イベントの作るというのは想像以上に大変なのですね
五十嵐 そうですね。この職業の本質は、イベントを通じて人と人、人と物を結びつけることだと思っています。そのために求められるのは面白いイベントを作ること。せっかく魅力のある商品でも、見せ方次第で退屈なものになってしまいますから。テーマとなる人や商品に関心を持ってもらうため、どんなアイディアを合わせるかが僕たちの腕の見せ所です。以前、アジア雑貨の展示・販売イベントを担当したことがあります。設営に必要な機材はレンタル会社から借りるのが一般的ですが、展示物を見た瞬間に「天然素材を使った方が、素敵に見えるのでは」と感じ、装飾を“竹”で作ることを思い付きました。竹林を持つ方から竹を譲ってもらったり、友人の設計士に相談したりと大変なこともありましたが、クライアントにも入場者にも喜んでいただき、より魅力的なイベントになったと思っています。
五十嵐さんの今後の目標を教えてください。
五十嵐 今までは人に頼まれてイベントを作ってきたので、今度は主催側に立ったイベントができればと考えています。実は既に行動に移していて、福島市で「ロメオパラディッソ」というパフォーマンス集団を立ち上げました。下は小学生、上は40代までが所属する団体で、去年は4回目の公演を無事に終えて着々と知名度を上げています。今後は彼らをサポートしながら、一緒に福島県を元気にするプロジェクトを立ち上げたいです。それに野望ではありますが、将来的には彼らのパフォーマンスを鑑賞できる劇場や、県内の美味しい食べ物が並ぶ物産館を1つにした施設を作り、福島の文化を日本中に発信したいです。
Q&A
Q.どうすればイベントプロデューサーになれるの?
A.広告代理店、またはイベントの企画会社に就職し、それからキャリアアップするのが一般的とされています。上記の会社に就職するにあたり、「大学卒業」が求められる場合が多いので、まずは大学進学を目指しましょう。
Q.求められる能力は?
A.多くの関係者に指示を出さなければならないため、コミュニケーション能力は必須です。また、物事を予定通りに運ぶ調整力や、クライアントと自分の考えを合わせる交渉力なども求められます。
Q.学生のうちからやるべきことは?
A.展覧会やショー、フェスティバルなどのイベントに積極的に参加し、感性を磨くのがいいでしょう。五十嵐さん自身も、若い頃は多彩なイベントに参加されていたそうで、企画を考える際、当時の経験が大きく役に立っているとお話してくれました。
- 株式会社ラグソール代表取締役、福島学院大学非常勤講師 五十嵐 隆男(いがらし たかお)さん
- 出身地
- 福島県福島市
- 最終学歴
- 福島大学 教育学部(現:人間発達文化学類)
- 趣味
- ラーメン食べ歩き、映画鑑賞
- 座右の銘
- Surprising yet right「意表をつく正解」
※この記事はaruku2018年1月号に掲載したものです。内容は取材時のものです。